年齢の重なり。それはネガティブなものに見られがちです。しかしフランス女性はそういった外見や体型の変化でさえも、魅力的なものへと変えてしまいます。今回は50代を過ぎてからも輝いてい生きている素敵なフランス女性についてお話を伺いました。
DIY から始まった、 人生を豊かにする家具作り。
グラフィックデザイナーとして、 長年雑誌のアートディレクションなどで活躍したファビエンヌさん。 「子供が生まれたのをきっかけに、在宅で働くようになりました。でも同じクライアント、同じ仕事、そして家で一人きりの作業。そんな自分を変えたいと考えるようになってきたんです」
人生の転機は、 43歳で一軒家を購入したことでした。
「家具やファブリックを自分の手で作りました。8m幅の窓につけるカーテンは、幅広なので軽い素材を探し、そこに光が通る穴を開けてみました。ま た工事現場の足場として使う鉄のパイプと板を組み合わせ、大きなテーブルも作ったんです。そして子供たちのためにブランコも!」
それらの家具が、家を訪れる友人たちの間で評判となり、欲しいという人が増えていきました。 「とくに人気だったのがムートンを張ったスツール。試しにいくつか作ってプライベートセールをしたところ、あっという間に完売。しかも買った友人から話を聞いたインテリアショップから問い合わせがきて、それがきっかけで本格的に家具を作り始めたんです」
必要だからと作り始めた家具が、いつしか自分の人生を変えていきました。「最初は仕入れに関する単語などが、宇宙の言葉に聞こえました。木やメタルなどの素材を扱う会社との取引のため、パソコンに初めてエクセルもインストール。毎日が学ぶことばかりです」
その後、メゾン・エ・オブジェ(イ ンテリアの見本市)に出店など、家具 デザイナーとしては順風満帆です。 「デザインと製作に専念できるよう営 業パートナーを見つけ、次のステップ に進みたい。また子供たちが大きくなったので、同じ敷地に新しい木の家を建てようと計画中。こちらは人生を楽しくする夫婦のプロジェクトです」
ファビエンヌ・トネ さん
FAB DESIGN家具デザイナー 53歳
大学で建築を学ぶも中退し、 グラフィックデザイナーに。 48歳で家具ブランドを立ち上げる。自宅はパリから車で30分の街、シュレーヌ。 夫、23歳の男女の双子、17 歳の娘と暮らす。https:// fabdesign.fr
『ku:nel』2018年3月号掲載
写真 横田安弘 / コーディネート石坂紀子 / 編集・文 今井 恵
●フランスマダムの離婚の話ほか
◎【フランスマダムの離婚物語】波乱万丈から穏やかな生活へ。「今の私が一番好き」になるまで。
◎【フランスマダムの離婚物語】「絵に描いたような幸せ」から一転。周りに支えられ、新たに掴んだ幸せ。
◎【フランス流生き方2・前編】66歳で3度目の結婚をし、自分のために生きると決めた女性。
◎【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。