さまざまな国の家具と、心地よい余白をインテリアにー絲室・磯部祥子さん【住まいと暮らしvol.89】
磯部さんの暮らしのルール
1. 物事をニュートラルに見る
2. バレエで心身のバランスを整える
3. 小さなことにも感謝を
インドの布カディを使った、白を基調とした洗練された作品を制作している磯部祥子さん。
「鎌倉で暮らしていたのですが、布が増えてきて手狭になったのを機に栃木に引越しました。今のアトリエは母が見つけた空き家で、元の持ち主の方が趣味で油絵や陶芸をするために作った場所つきの平屋。木をベースにした窓枠など、こだわって作られた素敵な空間が気に入りました。住まいはアトリエに通いやすく、駅にも近い賃貸。蔵の街らしく、川と蔵が見える、日当たりのいいところです」
自作のクッションやブランケットを並べて。「たくさんの色は使わず、シンプルにまとめています」
棚や収納などがなかったアトリエは、友人のデザイナーに頼んで、木から一緒に選んで作ってもらったものなのだそう。
「壁がすべて木目が目立つ木なので、一部を珪藻土で白く塗って軽さを出したり、床を張り替えたり。全体的に少し手を加えて好きな雰囲気にしました。
インドで作ってもらったテーブルと椅子、北欧のテーブル、タイのチークのミシン台など、どこかひとつに統一せずいろいろな国のものが混ざっているのが落ち着きます」
インドで作ってもらったという白い紙のボックスをずらり。「カディ糸やインドで作ってもらった丸紐、フランスの綿紐など。収納は友人に作ってもらいました」
こんな素材感の家に住みたいと、暮らし方のアイデアをもらえる、洋書のインテリア雑誌を見る時間が好きなのだとか。
「仕事の日は制作を始める前に、ピアノ曲でバレエのバーレッスンをして自分を整えます。休みの日は明るいうちから晩ごはんの準備をするのが好き。音楽をかけながら、リフレッシュにもなります。アトリエで静かに制作する時間が長いので、ときどき自然のなかに出かけたり、人に会ったり。動の時間も意識して取り入れるようにしています」
小澄正雄さんや辻和美さんのグラス、李英才さんのカップがお気に入り。
数年前までは暮らしを楽しむゆとりを持てていなかったという磯部さん。
「今はできるだけ日々に余白を持てるように意識しています。朝と夜、季節を味わいながら、日常の小さな変化も楽しみながら暮らしていきたい。いつか1か月のうちに、都会と自然と両方を楽しめる生活スタイルにしたいと思います」
PROFILE
磯部祥子/いそべ・さちこ
2012年より、「絲室(いとしつ)」としてインドの手紡ぎ手織りの布カディを使った制作をスタート。見て触れて、感じるままに自身の感覚で、布の持つ空気感や粗、蜜、直線と曲線、硬さ、柔らかさ。そんな要素をデザインせず即興でコラージュし、作品を作る。一点一点違う表情を見せる作品が魅力。展示会を中心に活動している。
https://itoshitsu.com
磯部さんがバトンを渡すのは、西洋の古道具店「antiques BAGATTO(アンティークス バガット)」の塩見奈々江さん。「イタリアのアンティークを扱われている塩見さん。着物を着こなし、和の美意識を大切にしながら洋のものをセレクトする。どちらにもセンスが光っていてとても魅力的です」と磯部さん。塩見さんの暮らしは、12月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。
取材・文/赤木真弓