NHK朝ドラ『ブラッサム』のモデルの波瀾万丈な人生の軌跡。『宇野千代 ちょっと自伝』を試し読み!
作家、編集者、モデル、着物デザイナー、実業家として時代を駆け抜けた宇野千代が、自身を語り尽くした『宇野千代 ちょっと自伝』(マガジンハウス)が刊行されました。NHK朝ドラ『ブラッサム』の放送を楽しみにしている方も、まだ見てない方も、復習・予習にぜひ読んでみてください!
目 次
NHK連続テレビ小説『ブラッサム』のモデルになった作家・宇野千代。自身が発した言葉がいきいき響く、『宇野千代 ちょっと自伝』は、88歳から91歳の頃、『クロワッサン』誌上で語った連載をまとめた本を再編集したものです。多くの写真とともに、人生を語り尽くした内容は芳醇、熟成の境地!
※以下、本書の中から抜粋してご紹介します。
常に注目を受けた宇野千代が、スペシャルな人生を語りおろす。
1897(明治30)年生まれで1996(平成8)年没、大正・昭和の激動期を生き抜き、生涯現役を貫いた宇野千代。
作家として活躍するばかりでなく、日本で初めての女性ファッション誌を創刊、編集したり、着物のデザインをしたり。一方で数少なくない恋愛にもまっすぐに生きました。本書でも、自分の過去と現在を正直に客観的に語り尽くしています。
好きな人に会い、好きな場所に移り……。前に進む自分とそんな自分を見つめる自分。この併走を素直に認めるのが宇野千代らしさでもあります。
読みたかった、参考になる、また意外なエピソードにあふれて。
と、年齢を重ねても日々原稿用紙に向かう姿勢が綴られています。自分に甘くするのも大切という包容力も、誰しもがホッとできる言葉です。
また意外な身辺エピソードが語られているのにも注目。
たとえば、ごひいきの足袋屋ばかりでなく好きな男性にも素足を見られたくなかったことが語られています。
欠点やコンプレックスを負い目に感じることを否定せず、ただそこからはぴしっとプライドをもち、恐れない。
宇野千代の自分や人生へのやさしさ、厳しさ、真面目でありながら緩急がついた態度は、痛快に思えてきます。
第2章「好きなものへ突っ走る、恋」では、芥川龍之介、尾崎士郎、今東光、梶井基次郎、小林秀雄、東郷青児、青山二郎、北原武夫といった、実際の人となりは知る人のいなくなった有名な文学者、芸術家たちの(色恋に関しても含めて)エピソードを語っているのも興味深いところ。鬼籍の人となった男たちへの愛あふれる目線……朝ドラを観る時の予備知識にもなりそう。
今、改めてフレッシュな宇野千代神話、一字一句読み逃しなきよう。
長い間、前向きに一生懸命、生きてきたからこその言葉には、ものすごい説得力が!
何かみなさんにも役にたてば何でも話しましょう、という作家の純粋な姿勢に、魅せられていくことと思います。
書籍紹介
『宇野千代 ちょっと自伝』宇野千代 著/三宅菊子 聞き書き
貴重写真70点を大公開!宇野千代が88歳から91歳の時に語り下ろされた、しなやかでまっすぐな「生きが好い人生」の言葉が、現代の私たちにやさしく刺さる。マガジンハウス 1.980円
文/原 千香子