建築家・吉田 愛さんが週末過ごす鎌倉の家。「築50年以上の日本家屋で、庭の緑が一面に広がる借景に一目惚れ」【住まいの履歴】

住まいの履歴

各界著名人の気になるお住まいを拝見。これまで住んできた家のお話も合わせてお聞きする「住まいの履歴」。今回は建築家・吉田愛さんのお住まいです。

庭の緑と暮らす、季節の移ろいを楽しむ住まい。

住まいの履歴

借景に広がる庭の緑を主役にするため、床や壁、家具を落ち着いた暗色で統一。天井や柱はそのままにし、建物が持つ時間の重なりを残した。ダイニングテーブルはこの空間に合わせて制作したもの。

ホテルやオフィス、住宅、複合施設など国内外で多彩な空間を生み出してきた建築家の吉田愛さん。生まれ故郷の広島、メインオフィスを構える東京、そして週末を過ごす鎌倉。主に3つの地を行き来しながら、仕事と暮らしを紡いでいます。今回訪れたのは、2018年から暮らしはじめたという鎌倉の家。

住まいの履歴 吉田 愛/よしだ・あい

床を下げたことで、外を眺める目線が自然と低くなり、和の趣を引き立てている。造作のソファは空間と調和して佇む。

「神社仏閣や昔ながらの商店が徒歩圏内にあり、海が近い鎌倉の街に魅力を感じて、『いつか住んでみたい』と思っていた頃、この家と出会いました。築50年以上の日本家屋で、庭の緑が一面に広がる借景に思わず一目惚れ。大きな窓をいかし、緑を引き立てるような内装にリノベーションしました」

住まいの履歴

テーブル一体型のアイランドキッチンでは、友人を招いて料理をしながらホームパーティーを楽しむことも多い。

広島でも東京でも、風通しがよい開放的な住まいを選んできたそうですが、鎌倉の家では、より〝暮らし〟にフォーカスできるようになったと語ります。

住まいの履歴

襖や窓など、和室はできるだけ当時のままに。「時間が経過しているからこその風合いに魅力を感じて」。

「庭のある古い一軒家に暮らしてみると、少しの不便さも含めて、そのひとつひとつに豊かさがあると実感しました。庭の雑草を抜いたり、土に触れたりしていると、気持ちが整っていく。体を動かし、気づけば汗をかいていることもあります。そして、ひと仕事終えたあとの楽しみは、庭で採れた梅から作ったジュース。その甘酸っぱさは、この瞬間のためにあると思うほどの感動がありました。鎌倉に拠点を構えたことで、季節の移ろいや自然のサイクルを肌で感じられるように。自然のリズムに身を委ねることの豊かさに学びながら、自分自身が〝いい生活者〟でありたいと思っています。日々の暮らしで得た気づきは、空間を考えるときの確かな軸になっていると感じます」

住まいの履歴

世界中の文具店の「試し書き」をもとに制作された、シャルル・ムンカのアート作品が空間を彩る。

住まいの年表

●2030代 広島を拠点に活動
生まれ育った広島にて、建築家としてのキャリアを開始。「テラスがあり、開放感あふれるマンションでした」と振り返る。

吉田愛の広島の家

●40代  多拠点生活スタート
仕事の広がりとともに東京にもオフィスを構え、2拠点生活に。
現在は鎌倉を加え、3つの拠点を軽やかに行き来している。

吉田愛の東京の家

PROFILE

吉田 愛/よしだ・あい

建築家

設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」を谷尻誠氏と共同主宰。設計にとどまらず、空間プロデュースやインテリアスタイリング、不動産、飲食事業など幅広い分野で活動中。広島・東京・鎌倉の3拠点生活。
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『クウネル』2026年1月号掲載 写真 大森忠明/、取材・文/阿部里歩

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