おせちの一品に!予約の取れない料理教室」白崎茶会の発酵ごはん「鮭の大根寿し」
料理研究家・白崎裕子さんが、約2年半ぶりとなる新刊『白崎茶会の発酵ごはん 体がよろこぶおかずと自家製調味料』(株式会社マガジンハウス)を上梓しました。
神奈川県・葉山町の古民家でオーガニック料理教室「白崎茶会」を主宰してきた白崎さんが、20年にわたって伝え続ける発酵の力。本著は、すべてを手作りするのではなく、みそや塩麹など、身近な発酵食材を取り入れながら、簡単に失敗なく日々の料理が作れる——白崎流レシピの集大成です。
その中からおすすめレシピを抜粋し、二回にわたってお届けします。体がよろこぶおいしい“発酵ごはん”、ぜひ試してみてくださいね。
はじめに
発酵というのは、ほんとうに親切です。
野菜に塩を振れば、勝手に水を出して漬物にしてくれるし、乳清も「まだ使えるよ!」と、キムチやスープ、パンにまで変身してくれます。みりんだって「オイスターソース、まかせてください」と名乗りをあげます。こちらが寝ているあいだにも、菌や酵母たちは台所でせっせと働き、ごはんをおいしくしてくれるのです。
冷蔵庫を開けて「今日、なに食べようかな」と考えるとき、そこに発酵食があれば、漬けておいたみそ漬けをのせるだけ、仕込んだスープの素を溶かすだけ。あっという間にごはんになります。少し時間がある日は、ぜひ懐かしい伝統食にも挑戦してみてください。どれも昔からの知恵を大切に、今の台所で、ぐっとかんたんに、おいしく作れるように工夫しました。
白崎裕子さん PROFILE>>自然食品店「陰陽洞」(神奈川県・逗子)が主宰する料理教室を経て、葉山町の古民家でオーガニック料理教室「白崎茶会」を始める。予約のとれない料理教室として知られ、現在はオンラインレッスン「白崎茶会レシピ研究室」を開催。著書『白崎茶会のあたらしいおやつ』『へたおやつ』(ともにマガジンハウス)は、2年連続で料理レシピ本大賞・お菓子部門の大賞を受賞。
発酵食は、仕込んだ日から毎日少しずつ変化します。たまに親切を通りこして、おせっかいなときもありますが、その変化は、料理をする人に、ちょっとした冒険を与えてくれるのです。
「今日はどんな味だろう?」と冷蔵庫をのぞく、そのワクワクを楽しんでみてください。「ちょっと働きすぎだよ~」とか「え?こんなこともできるの?」と、驚いて笑ってしまうかもしれません。
鮭の大根寿し
難易度:★★★★☆
主な発酵食材:米麹
保存の目安:冷蔵で約1週間~10日
お酒にもぴったりで、おせちとしても活躍!
本来は身欠きにしんと大根で作る、北陸の冬の味「大根寿し」。義理の母が作ってくれるものが本当においしくて手に入れやすい材料でかんたんに作れるように工夫しました。
スモーク鮭を使えば、魚の下処理がいりません。大根の切り方もポイントで、これならすぐ漬かります。年末に作れば、元日からしばらく楽しめますよ。
材 料(作りやすい分量)
大根…1本(1㎏)
塩…30g
熱いご飯…120g
米麹(乾燥)…120g
スモーク鮭(またはスモークサーモン)…120g
酢…適量
たかのつめ…2本
ゆず…1個
にんじん…1/3本(50g)
細切り昆布…適量
作り方
\大根を下漬けする/
① 大根は皮をむいて2本の菜箸の間に置き、幅5㎜ほどの切り込みを入れる。2枚1組で切り離す。
② 塩をまぶして保存袋に並べ入れ袋の空気を抜く。
③ バットに入れてさらにバットをの せて重しをし、水が出るまでひと晩置く。水が上がってきたら、空気をよく抜き、冷蔵庫の野菜室で3日ほど寝かせる。
*重しの目安は3~4kg
\麹を起こす/
④ 本漬けする前日に、厚手の鍋に熱いご飯と水120mlを入れて混ぜ、弱火にかけてひと煮立ちさせる。火を止めて、蓋をして10分置き、乾燥麹を加えてよく混ぜる。鍋をバスタオルなどで包んで保温し、ひと晩置く。
*または材料をすべて混ぜてヨーグルトメーカーに入れ、60℃で4時間置いてから、冷ましておく。かためがポイント
\下準備をする/
⑤ ゆずは皮を薄く切りとって千切り、果汁も搾っておく。たかのつめは種をとって輪切りにする。にんじんは千切りにし、塩をふたつまみ(分量外)まぶしておく。ゆず果汁に酢を足して大さじ2にし、スモーク鮭に振りかけて15分ほど置く。
\本漬けをする/
⑥ 大根の水気を切り、鮭をはさむ。
⑦ 保存容器に起こした麹1/4量ほどを敷き、にんじん、ゆず皮、昆布、たかのつめを各1/4量ほど散らす。
⑧ ⑥の大根を隙間なく並べる。⑦と⑧を繰り返す。表面にラップをしてぎゅっと押し、軽い重しをして、冷蔵室にひと晩置く。
⑨さらに冷蔵室で3~4日寝かせると、ほんのりと酸味が出て味が完成する。
*時間がたつと、酸味が強くなってくる。早めに食 べても、酸味が強くなってもおいしい。
簡単おいしいレシピの集大成、大好評発売中!
雑誌『クロワッサン』で好評だった人気連載「発酵教室」を一冊にまとめた、白崎さん2年半ぶりの待望のレシピ集。20年にわたり発酵の魅力を探求し伝えてきたスペシャリストが、醤油やみそなど、身近な発酵食材の力を生かした、簡単でおいしい料理を提案。普段の調味料をおなじみの発酵食材で代用する工夫など、発酵ごはんビギナーにもうれしい工夫も満載の全100品が詰まった一冊です。
『白崎茶会の発酵ごはん 体がよろこぶおかずと自家製調味料』1,760円(株式会社マガジンハウス)
撮影/青木和義