困難な子供時代を経て、いまは平和活動を積極的に。サヘル・ローズさんがこれからやっておきたい10のこと

漠然と捉えていた「大人」の年齢を超えても、思い描いていた大人像には届かないもの。自分らしく輝く4人の理想の大人像、それに近づくために、やっておきたいことを伺いました。

体験から得た実感を生かして、やっておきたいことはたくさん。

「成功なんて関係なく、自分の生き方をどんな形でもまっとうして、ちゃんと年を重ねたいです」とサヘル・ローズさん。

児童養護施設で過ごし7歳で養母に引き取られた後、来日。貧困やいじめ、差別、と憂いの多い少女期を送りました。メディアでの活躍と併行して、体験を語る講演、社会的に弱い立場の人や孤立している人に助力する活動を続けています。リストの2から6などはそんな活動の延長にあるよう。

例えば刑務所での講演について聞くと「罪を犯した人たちにただレッテルを貼って除外するのは違うし、社会に出た時に置き去りにならないようにと思います。他人の人生と出会って外の世界に触れてもらう。ずっとやりたいと言っているのに叶っていませんが、言霊を信じ言い続けます」

まっすぐです。実体験の中で表現の力に気づき目標にしたこともあります。

「アフリカなどの難民居住地は電気もなく外の世界と遮断されていて。以前、ヨルダンの難民キャンプにプロジェクターを持って行ってアニメなどを上映したことがあります。固まっていた子どもたちの心も映像を観て動くんです。移動式映画館は日本でもあるといいな。劇団は心が閉じてしまった子どもたちや大人のための拠点として・・・。他の誰かになりきるのはおかれている環境から一瞬目を離せる機会になって、心が溶けて動き出すんですよ。私もそうでした。今の活動を劇団として本格化したい」

途上国での課題は貧困でありそういう国々に雇用システムがあればと感じたそう。
「現地では自分の力は小さいと思うことが多いけれど、村には手仕事の伝統とか手がかりはある。起業できたら、私が水車になってお金と雇用とものを回したいです」

自分で立ち上げた多くの取り組みは、1の世界への旅とどう関係するのでしょうか。
「私は自分を精神的に追い込みがちなんです。映画祭でパリに行ったときに、こういう都会の光にさらされるのも必要だと感じました。影になっている土地ばかり訪ねると心が疲れ俯瞰できなくなってくるなと。たくさんの人に出会いたいですし」

サヘルさんの人生で最も大きな存在が、孤独な中で身を削って育ててくれた母です。「家賃や食べ物にも事欠く生活も経てきたので、母が困らない生活を確保して、ずっと支えて暮らしていこうと思ってます」

ひたむきで心がピンと張っただけでは辛さも訪れそう。でも、修復に繋がる知恵も!

「ネットを遮断する時間は大切。なるべく長くもつ方が気分が落ち着くと思うのですが、今は年に2日くらい。ダイビングをしてさらに無音状態でいるのが好きです」「自分に自信がない」と言いつつまだ30代、リストを読むと心配不要と思えてきます。

「知名度があればできることが増えるから」とあの賞の受賞を願うのも素敵ですし、「有言実行はかっこいい大人の条件だから頑張ります」とやっぱり頼もしい!

サヘル・ローズさんがやっておきたい10LIST

1 .途上国も先進国も、世界を見に行く。
2 .刑務所などで講演会をする。
3 .保護犬や保護猫を救いたい。
4 .移動式映画館を作って難民キャンプなどで上映。
5 .雇用を生むシステムを途上国で作りたい。
6 .サヘル劇団を作り、表現をしたいすべての人の拠点に。
7 .母が安心してくれる生活を築いておく。
8 .インターネットを遮断した生活を定期的にもつ。目標 1 週間。
9 .もっと自分を好きになっていたい。
10. 世界平和にはたらきノーベル平和賞を獲る。

PROFILE

サヘル・ローズ/Sahel Rosa

イラン生まれ。イラン・イラク戦争のさなかに故郷と家族を失い孤児に。8歳で来日。俳優やコメンテーターとして活躍し、出演した映画『シサム』が公開中。国内外での支援活動にも力を注ぎ、2020年にはアメリカで人権活動家賞受賞。母と丹精したバラ園にて。

『クウネル』2024年11月号掲載 写真/須藤敬一、取材・文/原千香子

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『クウネル』NO.129掲載

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