品格漂う歌声と繊細な表現力で人々を魅了する、韓国ミュージカル俳優・KAI。デビュー16年目にして初となる今回のワールドツアーは中国、東京、ニューヨークなど5か国、6都市での開催。韓国のミュージカル俳優が単独で海外ツアーを行うのも、これが初めてなのだそう。

「ワールドツアーはとても嬉しいですし、今からわくわくしています。同時に、これは韓国のミュージカル界にとって歴史的なこと。だからこそ、ミュージカル俳優としてみなさんに"専門的なミュージカルナンバーをお届けする"という目標もあるんです。より多くの方々にミュージカルの楽しさを知っていただくためにも、さまざまな名曲ナンバーを用意して、今まで以上にかっこよく素晴らしい公演にしたいですね」

日本公演では、全楽曲をピアノの生演奏によるマイクレス歌唱で行う予定。この企画には、幼い頃からクラシックや声楽を専攻してきたKAIならではの思いが込められているのだとか。

「マイクを使えば、声や歌詞を明確にお届けすることはできます。でも、せっかく私の単独リサイタルに来ていただくなら、みなさんにミュージカルナンバーをクラシック的なアプローチでお伝えしたいと。マイクを通さない歌声で、"生のライブ"という純粋な音楽の空間を楽しんでいただきたくて（マイクレス公演を）企画しました」

また、元宝塚歌劇雪組トップ娘役・真彩希帆との共演も話題の1つ。

「真彩さんは女優としても、歌手としても素晴らしい方。日本の女優さんとのデュエットは今回が初めてなので、とても光栄です。きっと素晴らしい公演になるだろうと、今から大変期待しています」

昨年も日本での公演を成功させたKAI。実は日本の観客のある様子がモチベーションになっているのだそう。

「私の歌を聴いた時のみなさんの表情がすごく良いんです！韓国の客席の反応は情熱的なんですが、日本では心の中で受けた感動が、表情にふわっとにじみ出てくるような……。それが大好きで、もはや中毒になっている感じですね（笑）」

大作への出演が続く俳優生活では、体調管理は何よりの優先事項。舞台で最高のコンディションを作るための運動と練習、継続的なレッスンは欠かさないというKAI。

「体調管理はもちろん、喉のケアは1番大切。生活の中では、できるだけ喉に負担をかけないよう気遣っています。ただ、ルーティンは持たないようにしているんです。なぜなら、それができなかったときに精神的ダメージを負ってしまうので。つまり、ルーティンを持たないことが私のルーティンですね（笑）」

また、多忙な日々のメンタルケアには、大切な癒しの存在がいるのだそう。

「うちの猫、"テナ"です。普段から、テナと全然通じない会話を楽しんでいます（笑）。今日の公演うまくいくかなあ？とか一方的に話しかけたりして。返事の代わりになめ返してくれるんですよ（笑）」

韓国ミュージカル界の第一線で活躍を続けるKAIが、今後さらに目指すものとは？

「今は公演のひとつひとつを充実させることが自分の目標。どの作品のどういった役でも、楽しく公演していきたいですね。そして、日本の素晴らしいミュージカル製作と韓国のミュージカル製作を融合させ、お互いに交流する中で活動することも目標です」

ツアー準備中のKAIから、みなさんへメッセージをいただきました。

「私（40代）もみなさんと同じ大人世代ですが、本当にすごくすごく大変な世代だと思うんですよね。ぜひ今回のリサイタルでいろいろな希望を感じて、それをパワーにしていただけたらいいなと思っています。会場でお待ちしています」