【住まいと暮らしvol.43】 季節の花を愛でながら、余白を大切にする日々ー内野水穂さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の下平陽子さんのバトンを受けてご登場いただくのは、内野水穂さんです。

内野さんの暮らしのルール

1)朝早く起き、ゆっくり白湯を飲む
2)季節の野菜料理とお花のしつらえをする
3)時間に余白を持つ

小さな頃から暮らしのなかに花があったという内野さん。

「父が庭で花を育てていたり、母が家でしつらえている季節の花をいつも目にしていました。お花は私にとって、日常のなかでホッとさせてくれる存在。物心ついた頃から生花やフラワーアレンジメントに触れていましたが、友人に誘われてブリザーブドフラワーを習って資格を取りました。その後、先生のお手伝いをしながらブライダルショーでブーケの制作もしました」

お茶づくりに携わるご主人の手伝いで、日本茶ブランド立ち上げのディレクターも務めたそう。

「日本茶は、季節に合わせたお茶を淹れることができるのが魅力。お茶のブランドに携わった4年間は、季節の和菓子に合わせたお茶をたくさん淹れました。ゆっくりお湯を冷まし湯呑みを選んで、季節の和菓子と合わせて淹れるという、お茶の時間を楽しむことが好きです」

今年に入って、時間に余白を作ることを心がけているのだとか。

「お茶の仕事をしているときに体調を崩してしまって。子育て、花の仕事、お茶の仕事とずっと走り続けてきたことを振り返り、少し自分を見つめる時間が必要だったと感じました。余白を作ったら、家のなかで過ごすことが一番好きになり、花の好みも華やかなものから、野の花など身近にある、可憐な花に心を奪われるように。これからは花を中心に、日本茶やハーブなどをもっと知っていきたいと思っています。地に足がついた自分でいたいですね」

息子さんが高校生のときにプレゼントしてくれたというフィカスルビギノーサ。「その横に置いた北欧の椅子に座って、読書をするのが癒しの時間。あまりに座り心地がいいので、また椅子を買いたいと考え中です」

甘夏の皮を天日干ししてオレンジピールに。「毎年たくさんいただくので、皮がもったいないなと作ってみました。少しだけチョコレートでコーティングして、オランジェットも作りました。ほろ苦いオレンジピールとチョコレートの程よい甘さが、紅茶とよく合います」

今年の梅仕事。「梅シロップはシンプルなものと、数年前に友人に教えてもらった、シナモンとクローブを入れたスパイスシロップの2種類を作りました」

シャインマスカットは家族の大好物。「夫が仕事で山梨方面に行くことが多く、安価で良いものに出合ったり、いただいたり。そのまま食べるのが一番ですが、贅沢にゼリーに。パンナコッタと2層になったデザートを作りました」

庭でたくさんの紫蘇を育てているという内野さん。「紫蘇の花は小さく可憐で、少し摘んでは部屋に飾って楽しんでいます。花が穂先に2,3輪残っている頃が、穂紫蘇の収穫のタイミング。今年もたくさん収穫して佃煮を作り、毎日のごはんのお供になっています」

毎年夏は、家族と長野の高原へ。「花や緑を求めて訪れますが、朝から散歩をしたり、自然に囲まれて穏やかな気持ちになれる、大切な時間です」

中秋の名月にはススキを飾って。「近所から採ってきたススキと、お月見団子を作ってお供え。十五夜には芋、十三夜には栗も一緒に。片見月にならないように気をつけています」

今の時期楽しめるのがユーカリ。「毎年友人の庭からいただいています。リビングで2週間ほど楽しんだ後、一部をドライフラワーに。家の入り口にわさわさとかわいらしいユーカリを見る度、うちでも育ててみたいと挿木中です。根がついてくれたらと願っています」

お正月には、玄関のドアに飾りを。「新しい年が穏やかでありますようにと願いながら、12月28日に、お正月のお花の残りで玄関のお飾りを束ねます。これは南天と若松を束ねたもの」

昨年のクリスマスには、針葉樹と庭のローズマリーを束ねてスワッグに。「子どもの頃から大好きなクリスマス。ゆらゆらと揺れるフライングツリーを作りました。今年は大好きな香りの針葉樹で、どんなクリスマスの飾りを作ろうか、そろそろ考え始めています」

毎年お節のお重を実家でいただくという内野さんは、お正月の料理は控えめに。「2、3点作って、お正月気分を楽しむことにしています。お煮しめや家族に好評の黒豆を炊いています」

鏡開きの日には、朝一番にことこと小豆を炊いて。「小豆を炊くのは、大好きな家仕事のひとつ。その小豆を使い、きび砂糖で作った甘さ控えめのお汁粉には、開いた鏡餅を入れて夜にいただきます。この時期は母が好きだった水仙の花がきれいで、いろいろな思い出が浮かびます」

ミモザは大好きな花。少し多めに玄関のガラスベースに入れたり、リースにしたり。「前を通るたびに、ふわりと鼻先をかすめるようなフレッシュな香りに癒されます。黄色の花を楽しむ、春のしつらえです」

内野さんが制作したブライダルブーケ。「しばらく離れていたお花の仕事。友人や知人に頼まれて余裕があるときは制作していますが、身体と相談しながら、ゆるりと自分らしく再開できたらと考えています」

profile

内野水穂/うちのみほ

幼い頃から、日々の暮らしのなかで季節の花やしつらえを大切にしていた母の影響を受ける。生け花やフラワーアレンジメント、茶道などを通じて、季節に寄り添う暮らしを経験する。息子が小学生になったタイミングでブリザーブドフラワーの教室をはじめ、ホテルブライダルの装花やブーケ、ブライダルショーのブーケなどを制作。日本茶ブランドの立ち上げのディレクターを務めた後、現在は花の仕事の再開をゆっくり検討中。
Instagram@miho.fleur

内野さんがバトンを渡すのは、宮原美由紀さん。「ふんわりと優しい雰囲気の美由紀さん。初めてお会いしたときは、穏やかなかわいらしい声にほっと癒されました。雑貨店『マイカ』を営むご主人の横で、お菓子作りをされています。黒猫のまーちゃんとの暮らしもとても素敵です」と内野さん。宮原さんの暮らしは、11月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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