わざわざ食べに京都に行きたい。フードディレクターが推薦する京都のフレンチ&中華の名店
小さな街に、ジャンルを超えて美味しいものがギュッと凝縮されているのが京都のごはん処の面白さ。今回は9年前に東京から京都に移住したフードディレクター・奥村文絵さんに、いま注目すべき京都のフレンチと中華を紹介してもらいます。
PROFILE
奥村文絵/おくむらふみえ
「食とデザイン」を手がけるFoodelco Inc.主宰。9年前に東京から京都に移住し、21_21DESIGN SIGHTでの「コメ展」(2014)などに参画。京都でギャラリー『日日』と日本茶のティールーム『冬夏』を直営。
挑戦し続けるシェフの独創的なフレンチ|『middle』北大路
京都で唯一の、鴨川ビューのファインダイニングが、北大路に2021年にオープンした『middle』。元イタリア領事の邸宅だったという日本美をモダンに取り入れた空間で、昼夜各数組のみという贅沢なもてなしが魅力です。
オーナーシェフ藤尾康浩さんは、パリを皮切りに南仏のミシュラン三つ星店『Mirazur』で修業、2018年『サンペレグリノ ヤングシェフ』コンクールで日本人として初優勝したキャリアの持ち主。
オープン以来、奥村文絵さんにとって「欧州と日本を行き来した、彼にしかできない料理がどう進化していくか、これからも楽しみです」と目が離せない存在。
カブとカニを発酵花山椒と和えた料理には、シェフが関心を深める日本料理からの影響が鮮やかに表現されます。「壊すことを恐れず、静かに挑戦をし続ける藤尾さん流フレンチ」のエッセンスが印象的です。
middle
住:京都市左京区下鴨上川原町5-3
電: 050-3187-3880
営: 12:00~、17:00~18:30開始で予約可
休:不定休
支:カード可
予約:要予約
https://middle.co.jp
齢70を超えて挑戦を続ける宮本シェフ夫妻に尊敬しかありません|『京、静華』岡崎
ミシュラン一つ星の中国料理店『京、静華』。奥村さんが「この店のために京都に来る価値がある」と心酔する理由は、宮本静夫シェフの料理への尽きない情熱。中国の奥深い食の技法を、歴史をふまえて探求。古典的な「常菜」から、日々進化するイノベーションまで、現地に赴いて学びを深めています。
京都の風土もそこに反映させ、上湯の清らかな滋味に賀茂なす、ハモが出会う料理や、旬の味覚を包んだ〈三味春巻〉など、創作アイデアは尽きません。その味は「無化調(化学調味料無添加)はもちろんのこと、クリエイティブでありながら、王道の美味しさ」と奥村さん。
健やかさに配慮する工夫もまた、歳を重ねた今なお、新境地を拓く宮本シェフの真骨頂。日本料理のように脂や塩を控え、お腹が軽い食後感で、中国料理のイメージが更新されます。
京、静華
住:京都市左京区岡崎円勝寺町36-3 2F
電:075-752-8521
営: 18:00 一斉スタート
休:月・火曜日(不定休あり)
支:カード可
予約:要予約
http://kyoseika.com
写真/野口さとこ、取材・文/沢田眉香子、編集/黒澤弥生
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『クウネル』No.123掲載
私のとっておきの京都
- 発売日 : 2023年9月20日
- 価格 : 980円 (税込)