パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。2月は荻野さんが、フランスの伝統的な煮込み料理「カスレ」をご紹介します。
フランス南西部の街トゥールーズへ
先月、仕事の関係で、フランス南西部の街トゥールーズに1泊2日の弾丸トリップをしてきました。パリからTGVで約4時間半かかるので、今回はオルリー空港から飛行機に乗って1時間ほどで到着。フランスでは、パリ、マルセイユ、リヨンに次いで4番目に人口の多い大都市で、エアバス社や宇宙センターなどがあることから、ヨーロッパの航空宇宙産業の中心地としても知られています。
私は、以前こちらで紹介したカンヌをはじめとする南仏には縁があってよく足を運ぶのですが、同じ南部でも西側のトゥールーズは今回初めての訪問。仕事メインで自由時間は限られていたものの、なんとしてでも名物のカスレだけでも食べたい!と出発前においしそうなお店を下調べしました。
そして見つけたのが40年代に創業したレストラン・エミール。ネットでの評判が高くミシュランガイドにも載っている上、トリコロル・パリの相方の桜井も以前行ったことがあっておいしかった、とアドバイスをくれたのが決め手となりました。
フランス家庭料理の冬の定番!
カスレは白インゲン豆と鴨肉、トゥールーズのソーセージをぐつぐつと煮込んだフランスの伝統的な煮込み料理。土鍋のままサーブされる熱々のお肉が胃袋を温め、滋味深いソースがよく絡んだインゲン豆がお腹にずっしりとたまり、寒い冬にぴったりのメニューです。 ちょうど到着した日はフランス全土を寒波が襲い、とにかく寒い!おまけに雨も降り出して、レストランに着く頃には心身ともに冷え切っていましたが、エミール特製のカスレで息を吹き返した気分でした。
カスレは単品で26€、前菜とデザートの付いたコースの場合は45€。店内は冬の時期もあってか、旅行者よりも地元の常連さん風の方で満席。カスレ以外の日替りコースを召し上がっている人もいて、どれもとてもおいしそうでした。
デザートにはオレンジフラワーのリキュールで香り付けしたふわふわのスフレ!真ん中にちょっと穴を開けて、自家製のバニラアイスをのせてくれたのですが、これも絶品。大満足のランチとなりました。
レンガ造りのかわいらしい街並み
食後はとにかく歩く!ということで、11〜13世紀に建てられたサン・セルナン・バジリカ大聖堂を見学したり、「ピンク色の街」の愛称の由縁でもある、テラコッタのレンガ造りの旧市街を散策したり、最後は豪奢な市庁舎とキャピトル広場も訪ねたりと、お昼から夕方にかけての短い時間でしたが、トゥールーズを満喫できました。パリとはまた違ったフランスの表情を見つけられた小旅行でした。
文/荻野雅代