食材の持ち味を生かし、どこでも手に入れられる調味料を使ったレシピに定評がある料理家の大庭英子さん。その料理は思わず「おいしそう!」と口にしてしまうほど、どこかダイナミックなビジュアルで、実にそそられます。
長年、第一線で活躍され、数多くのレシピ本を出版されていますが、今年6月に新刊『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』を上梓されました。
長年の経験を基に提案するのは、ひとりごはんを愉しむための工夫やアイデアなど。
その一部をシリーズで紹介します。最後には大庭さんの特別インタビューも掲載予定です。どうぞお楽しみに。
前回までの記事(『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』より)
■時間がたってもおいしい煮ものは、多めに作っても飽きません。
煮ものはコトコト煮ることでおいしくなり、火を止めて冷ます間に味がしみてさらにおいしくなり、また火にかけるともっとおいしくなるという料理。
だったら煮ものだけはたっぷり作って幾度も味わいたいもの。次の日になっても食べたくなる煮ものって何?3〜4日で食べきれる煮ものって何だろう。
真っ先に思い浮かぶのは筑前煮。鶏肉、こんにゃく、ごぼう、里いも、にんじん、れんこんと具材は多く、それぞれに下ごしらえは必要ですが、鍋の中でうまみが溶け合ったおいしさはほかにはない滋味深さ。鶏肉も野菜もしっかり炒めることでアクがやわらぎ、コクが出ます。
それぞれの野菜の量に決まりはなく、レシピに合わせ、使う野菜の総量を合わせるようにすると、野菜の種類が減っても応用できます。
■野菜たっぷりの煮ものがあれば、忙しいときにも助かります。
また、野菜をたっぷり食べるための煮ものがイタリア料理の定番・カポナータ。なす、ズッキーニ、セロリ、パプリカ、トマト、玉ねぎなどをじっくり炒め、野菜のもつ水分だけで煮るからうまみたっぷりで、冷めてもおいしいまま。
こちらもそれぞれの野菜の量は好みで加減してよく、レシピ(下記)に合わせて、使う野菜の総量は750gくらいと覚えておくといいでしょう。
カポナータの材料と作り方
材料(作りやすい分量)
なす 3〜4個
ズッキーニ 大1本
セロリ 1本
パプリカ(黄、オレンジ) 各1個
トマト 2個
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1かけ
白ワイン 大さじ2
レモン汁 大さじ3
オリーブ油 塩 こしょう はちみつ
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作り方
[1]なす、ズッキーニはヘタを切り、2㎝角に切る。セロリは筋をとって2㎝四方に切り、パプリカはヘタと種をとって2㎝四方に切る。
[2]玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。トマトは横半分に切って種をとり、1㎝角に切る。
[3]鍋にオリーブ油大さじ4を熱し、玉ねぎ、にんにくを入れて中火でしんなりするまでよく炒め、[1]の野菜を加えて2〜3分かけてよく炒める。
[4]トマト、白ワインを加えて混ぜ、煮立ったら、塩小さじ1、こしょう少々をふって混ぜ、ふたをして弱火で20分ほど煮る。
[5]はちみつ大さじ2、レモン汁を加えて混ぜ、さらに少し煮る。
※パンやパスタはもちろん、ご飯にも合う。半熟卵をのせて丼仕立てにしても。
甘辛しょうゆ味のいんげんのおかか煮は常備菜。1袋まとめて作っておくのがおすすめです。
いんげんのおかか煮の作り方
材料(作りやすい分量)
さやいんげん 200g
削り節 1袋
油 酒 みりん しょうゆ
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作り方
[1]さやいんげんはヘタを切り、半分の長さに切る。
[2]フライパンに油大さじ1を熱して[1]を入れて炒め、削り節を加え、酒大さじ2をふる。
[3]水大さじ3を加え、煮立ったら、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ11/3を加えて混ぜ、ふたをして弱火で8〜10分煮る。
大庭英子/おおばえいこ
身近な材料と普段使いの調味料で作る家庭料理に定評がある。和・洋・中・エスニックのジャンルを超えた幅広いレシピの数々は、どれも自然体のおいしさで、いつ食べても飽きない味わい。みんなのために作る料理だけでなく、最近は自分のために作る料理の時間も愉しむ。
※本記事は『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』からの抜粋です。
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料理研究家歴40年の大庭英子さんが、家で「ひとりごはん」を楽しむためのアイデアとレシピを紹介。
ひとり分でも飽きずに手軽に続けられる献立の組み立て方や、ひとりごはんに使いやすい食材の選び方や冷凍法、常備菜などについても幅広く提案している。
写真/邑口京一郎 編集/松原京子 再構成/結城 歩