食材の持ち味を生かし、どこでも手に入れられる調味料を使ったレシピに定評がある料理家の大庭英子さん。その料理は思わず「おいしそう!」と口にしてしまうほど、どこかダイナミックなビジュアルで、実にそそられます。
長年、第一線で活躍され、数多くのレシピ本を出版されていますが、今年6月に新刊『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』を上梓されました。
長年の経験を基に提案するのは、ひとりごはんを愉しむための工夫やアイデアなど。
その一部をシリーズで紹介します。最後には大庭さんの特別インタビューも掲載予定です。どうぞお楽しみに。
前回までの記事(『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』より)
■ひとりでもとんかつ! かつサンドにもしたいから2枚揚げます。
揚げものは、なんといっても熱々の揚げたてを食べるのが一番。
だから、大好きなとんかつは、やっぱり自分で揚げるに限ります。
豚ロース肉を1、2枚揚げるだけなら、フライパンが手軽。わたしは直径20㎝程度のものを使っています。フライパンの半分の深さまで油を入れ、油がまだ中温のうちに豚肉を入れて徐々に温度を上げながらきつね色に揚げていきます。2枚一度に揚げようとすると油の温度が下がってカラリと仕上がらないので、1枚ずつ。
どうせ揚げ油が目の前にあるなら、1枚も2枚も同じようなもの。2枚目は次の日までとっておき、かつサンドにして楽しむのがわたし流。溶き卵もパン粉も無駄になりません。
とんかつの材料と作り方
[材料・2枚分]
豚ロース肉(とんかつ用) 2枚
塩、こしょう 各少々
小麦粉、溶き卵、パン粉 各適量
揚げ油 適量
[作り方]
[1]豚肉は脂身のある部分を手前にしてまな板の上に置き、脂身と赤身の間にある筋に4〜5本切り込みを入れます。こうすると揚げても肉が反りません。あとは両面に塩、こしょうをふって下ごしらえは完了。
[2]豚肉に小麦粉を薄くまぶして余分な粉を落とし、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、最後にパン粉の上から手で軽く押さえます。
[3]フライパン(直径20㎝くらい)の半分の深さまで揚げ油を入れて中温に熱し、豚肉1枚を入れ、返しながら3〜4分揚げます。油からとり出したら網の上にのせて油をきります。
[4]フライパンに残った揚げかすを網じゃくしですくいとり、もう1枚も同様にして揚げ、油をきります。
■自分で揚げたとんかつで作ったかつサンドは絶品です。
かつサンドの材料と作り方
[材料・1人分]
とんかつ(上記参照) 1枚
せん切りキャベツ(vol.1参照) 80g
食パン(8枚切り。耳あり) 2枚
ウスターソースまたはとんかつソース、バター、練り辛子 各適量
[作り方]
[1]とんかつは冷めていたらオーブントースターで温め、熱いうちにソース大さじ2をつける。
[2]食パンはオーブントースターで焼き、片面にバターを大さじ1/2ずつぬり、そのうちの1枚に練り辛子少々をぬる。
[3]練り辛子をぬった食パン1枚にキャベツ、とんかつの順にのせ、もう1枚のパンをのせる。手で押さえて落ち着かせ、半分に切る。
大庭英子/おおばえいこ
身近な材料と普段使いの調味料で作る家庭料理に定評がある。和・洋・中・エスニックのジャンルを超えた幅広いレシピの数々は、どれも自然体のおいしさで、いつ食べても飽きない味わい。みんなのために作る料理だけでなく、最近は自分のために作る料理の時間も愉しむ。
※本記事は『68歳、ひとり暮らし。きょう何食べる?』からの抜粋です。
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料理研究家歴40年の大庭英子さんが、家で「ひとりごはん」を楽しむためのアイデアとレシピを紹介。
ひとり分でも飽きずに手軽に続けられる献立の組み立て方や、ひとりごはんに使いやすい食材の選び方や冷凍法、常備菜などについても幅広く提案している。
写真/邑口京一郎 編集/松原京子 再構成/結城 歩