社会問題や環境問題を引き起こす「間伐材」や「放置竹林」。そんな木の皮や竹などに、地球上の新たな食材としてスポットをあてた、サステナブルなプロジェクト「地球料理—Earth Cuisine」。イベント第3弾の主役はカカオ。通常は廃棄されるカカオ廃材を使った、スイーツとドリンクのスペシャルコースをレポートします。
おいしく「食べる」ことで社会課題
地球を含めた全方位をシアワセに
木と土からつくったスープや間伐材からつくったデザート、今までにも様々なトライアルをしてきたプロジェクトが、今回フォーカスしたのは「カカオの廃材」。長年、社会課題と言われてきた、生産者であるカカオ農家の深刻な貧困問題に目を向け、カカオの廃材に新たな食材としての価値を与える『LIFE OF CACAO』がテーマ。
チョコレートを作る時に70%も廃棄される、カカオ豆の殻、枝、葉っぱ、パルプなどの素材を活用して、人気シェフの江藤英樹さんと世界的バリスタの井崎英典さんがレシピを考案。デザートとドリンクのペアリングという1日限りの特別メニューでイベントが開催されました。
カカオの一生を五感で体感
ロケーションは熱帯を彷彿とさせる、新宿御苑 温室。室内にはカカオの木もあり、カカオ農園を少しでも感じながらというセッティングです。メニューには「誕生」「芽生え」「息吹」「実り」「還元」という5品の設定。最初の登場は、カカオニブとカカオ豆の殻で香りづけしたブランマンジェにカカオパルプのジュレを乗せた1品。
優しい甘さのプルンとした喉越しに、ほんのり野性味のある香りで、カカオニブの苦味が楽しいアクセントに。ドリンクは、アールグレイ、ディル、炭酸ベースにカカオパルプの爽やかな酸味と甘さを加えた、食前酒のような1杯です。この後も、カカオニブとカカオ豆の殻による濃厚なムースショコラやカカオの葉を用いたテリーヌなど、美しく繊細なビジュアルに廃材とは思えない至福の味が続き、まさに余すことなくカカオをいただいた気分に。
今まで捨てていたものに光を当てて、おいしく楽しく食す、有意義なイベントでした。プロジェクトはこの先も続き、次回はどんな素材がフォーカスされるのか注目度大です。
カカオの廃材を取り入れた
チョコレートも
プロジェクトでは今までに、間伐材を使用したパウンドケーキや放置竹林をテーマに誕生したバンブーガレットなどを販売していますが、第3弾として、カカオの廃材から生まれた新しいチョコレート〈ECOLATE 〉も販売。
一般的にチョコレート製造で用いられるカカオマスやココアバターを使用せず、廃棄される、カカオ豆の殻、枝、葉から生まれた1品。初めての食感、味を体験して、地球を取り巻く問題に、思いをはせるきっかけにしてみるのもいいかも。