大人の女性がときめく香り。日本発ニッチフレグランスブランド『çanoma(サノマ)』デザイナーインタビュー。

サノマ ニッチフレグランス

昨年までパリから、リアルなフランスレポートを送ってくれていたクウネル・サロンメンバー松永加奈さん。今回は香水についてのレポートです。在パリ時代に知り合った、香水クリエイター・渡辺裕太さんのインタビューをお届けします。

少しずつ日が長くなり、寒い寒いと言いながら「そろそろ春の気配がしてくるかなあ」と、くんくん…。春をイメージさせるような、土や木々の芽吹きを探します。そんな「匂いの記憶」を自分の中に確認するとき、そのゆるぎない存在感に驚きます。

食べ物や植物、洗剤、お香、ルームフレグランスなど、日常生活をとりまき、記憶や感情と密接に繋がって、心の琴線にも触れてくるさまざまな香り。その1つ、香水の世界に魅せられ、2020年にニッチフレグランス(※)ブランド『çanoma(サノマ)』を立ち上げた渡辺裕太さん。日本人として自身が作り出す「良い香り」とは? 香りの付け方、選び方もあわせて伺いました。

※ニッチフレグランス:主にラグジュアリ―ブランドや大手コスメブランド以外が出している香水を指すほか、有名ブランドでも定番ではない限定を入れることも。

サノマ ニッチフレグランス
1つの香水に重ねられる香料の数は30~60種類。香りのレシピは、コピーされないよう調香師だけが最後まで持ち続けるものなので、正確な把握はできないのだそう。

「10代の頃からいろいろなフレグランスを使ってきましたが、世の中にこんなに香水があるのに、本当に欲しいものがなくなってきたんです。大手のフレグランスは似たようなものが多く、ではニッチフレグランスなら…となると、こちらはクセが強い奇抜なものが良いとされる傾向になっていて。私が思ういい香水は、ぱっと嗅いだとき直感的に『いい香り』と判断されることが最低条件。そういった新しいものがないなら、自分で作りたいと思うようになりました」

自身が考えるその『いい香り』とは、新しいけれどどこか懐かしさを感じるもの。クセ(個性)を上手に出しながら『嫌な香りがしない』『新しさがある』という2つがかけあわされているのが理想なのだそう。

サノマ ニッチフレグランス
香水瓶のラベルには「香水を作った順番」と「商品化するまでの試作品の数」を表した数字が。例えば「1-24」は「1番目に作った香りで試作品の数は24個」の意味。
サノマ ニッチフレグランス
アイコンには香道で使われる「香の図」を使用。嗅ぐことで初めて香りをイメージできるよう文字で名前を綴らず、香の図で名前を表現。「4-10」(写真)の意味は「乙女」。
サノマ ニッチフレグランス
現在、香りは4種類、サイズは30mlと100mlの2種類を展開。「3か月ほどで使い切れてきちんとフルボトル感もある瓶のサイズだと30mlがちょうどいいんですよね」
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「香りに個性を出すために『クセ』は必要ですが、それが上手に出せていないと、嫌な香りに感じてしまうんです。例えば料理を食べた時に『美味しいけれどこの部分不味いよね』となってはだめなわけで、それは香水も同じ。新しさがあってもバランスは重要です」

では、一般的にみんなが感じる「いい香り」とは?

「地域や民族の差はありますが、香りとして1つのまとまりがあることは、みんなが『良い』と感じる重要な要素だと思います。野菜サラダの構成に似ているんですよね。サラダって基本的に、何種類もの生野菜を入れただけのものですが、1品料理として成立しているのは、統一感があるから。香水も、いくつもの香料を混ぜただけのものだからこそ、統一感が大切なんです」

27歳で仕事を辞め、「こういう香水が欲しい」というビジョンを持って、世界トップクラスの調香師が揃うパリへ留学。MBAを取得し、調香師ジャン=ミッシェル・デュリエの下でインターンを行った後、2020年に立ち上げたのが、ニッチフレグランスブランド「çanoma(サノマ)」です。

「目指すのは、大衆的なフレグランスとニッチなフレグランス、両方の良さを併せもつ日本のブランド。そこで、親しみやすい『茶の間』と、上質さがあってときにエキセントリックでもある『茶道』をかけあわせて『サノマ』と名付け、頭文字には、フランスの素晴らしい調香技術を表すために『ç』を使いました」

サノマ ニッチフレグランス

「香水のクリエイションは、調香師(ジャン=ミッシェル・デュリエ氏)とパリで行っています。『çanoma(サノマ)』の香り作りは、私の個人的な感動が出発点。実際に日本で体験した『ふと心を動かされた瞬間』の情景やさまざまな要素(季節、空気感など)を調香師に伝え、相談しながらそれを香りに落とし込む、ゼロから具現化していくやり方です」

きっと誰もが経験したことのある『心を動かされた瞬間』という体験。その記憶を辿って再現した香りが、他の誰かの心や記憶の琴線に触れると、『初めて』でも『どこか懐かしい』と感じられる香水になる…日本人である自分がそれを作ることで、日本で受け入れられる香りになるはず、と渡辺さん。

「フレグランスが日本のマーケットで未成熟な理由の背景に、日本人に本当に合うものが少なかったという理由があると思うんです。ヨーロッパの人がヨーロッパの感性で作ったものが日本人に合うだろうか?と。そう考えたとき、私の『日本人としてのフィルター』がかかった香りなら、日本人が使いやすい香水だと受け入れられるはず。そうなって、『çanoma(サノマ)』が日本の香水マーケットを変えたよねという存在になれたらうれしいですね」

※次回は香水の付け方など、暮らしの中での楽しみ方についてご紹介します。


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