ウェス・アンダーソン監督の記念すべき長編10作目。最新作 『フレンチ・ディスパッチ』が教えてくれる、「映画の夢と人生の歓び」

ウェス・アンダーソン 映画 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

前作の『犬ヶ島』は第91回アカデミー賞で長編アニメ映画賞にノミネートされたり、ほか作品でも複数の賞を受賞していることでも有名なウェス・アンダーソン監督。そんな監督の最新作 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』の魅力をお届け!豪華キャストが出演する記念すべき長編10作目です。

先日、久しぶりに映画館へ足を運びました。ウェス・アンダーソン監督・脚本の最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(以下『フレンチ・ディスパッチ』に略)を観るために!

※ネタバレはありません!

ウェス・アンダーソンの現場は、監督をはじめキャストやスタッフまでみんなが同じホテルで寝食を共にすることでも知られますが、今作で最高のチームが見せてくれたのは、「映画の夢と人生の歓び」です。

ウェス・アンダーソン 映画 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
ウェス・アンダーソン 映画 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

物語の舞台となるのは、20世紀フランスの架空の街にある、米国新聞社の支社が発行する雑誌『フレンチ・ディスパッチ』誌の編集部。ビル・マーレイ演じるアメリカ生まれの名物編集長のもと、一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍します。

国際問題からアート、ファッション、美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を博し、50カ国50万人の購読者を獲得していましたが、急逝した編集長の遺言で廃刊が決まり、編集長の追悼号となった最終号では、記者たち主導のもと、笑いと涙がパンパンに詰まった3つのストーリーが寄稿されていきます。

ウェス・アンダーソン フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ

編集部のある街、アンニュイ=シュール=ブラゼの最も怪しい地区に、果敢にも自転車で潜入するルポタージュ「自転車レポーター」が序章となり、完璧に構成される3つのストーリー。

1.服役中の凶悪犯が作るアートをテーマにした「確固たる名作(コンクリートの名作)」

2.学生運動に身を投じる若きヒーローの情熱と恋を描いた「宣言書の改訂」

3.サスペンスとグルメを巧みに組みわせた「警察署長の食事室」

ウェス・アンダーソン フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ

どのシーンも、細部の細部にまでウェスアンダーソンのエスプリが光り、一瞬たりとも飽きることはありません。それどころか、『フレンチ・ディスパッチ』の上映中は、「クスクス」笑う声や、「シクシク」鼻をすするような涙声が溢れ、観賞する者の体と心をジーンと温めていきます。

ウェス・アンダーソン監督の記念すべき長編10作めとなった本作は、「活字文化とフレンチ・カルチャーに対するラブレター」という副題を、美しく、ユーモラスに、何層にもカルチャーを重ねながら見事に表現しているのですが、その背景には監督が長年憧れ続けたという1925年創刊の雑誌『ニューヨーカー』への敬愛がひしひしと感じられるのも魅力。

映画館から遠ざかっていた私でも、思わずパンフレット(写真)を購入。「インスピレーションを与えた人物たち」として、往年の『ニューヨーカー』の名物編集者や、(映画にもなった、ブルーのジャケットと自転車がシンボルの)ビル・カニンガムなど、記者の紹介ページもあったり、ウェスの長年の友人として知られる野村訓市さんによるインタビューも(ウェスがどれほど『ニューヨーカー』を愛しているかも語られています!)。

ウェス・アンダーソン フレンチ・ディスパッチ パンフレット

内容紹介に熱が入ってしまいましたが、出演者もビル・マーレイ以外に、ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、オーウェン・ウィルソンなど錚々たる俳優陣で、少しだけ映画らしい宣伝を加えるならば、カンヌ国際映画祭では上映後、約9分間もの熱いスタンディングオベーションで讃えられたのだそう!

私自身はこの作品を通して、改めて映画館での観賞の素晴らしさを感じることができました。

映画館は軒並み、席同士の空間を設けている時期ですし、一人で十分満足できる(むしろ一人で見ていただきたい)作品なので、ぜひ時間を見つけてウェス・アンダーソンの世界へ陶酔してみてください!

取材・文/藤井存希

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