圧倒的な高揚感!極上の音楽体験ができる映画『アメリカン・ユートピア』をぜひ劇場で。

1980年代に活躍し、1991年に解散したアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」。そのフロントマンであるミュージシャン・デイヴィット・バーンが、映画『ブラック•クランズマン』でオスカーを受賞した映画監督・スパイク・リーと手を組んだ映画、『アメリカン・ユートピア』が話題です。

映画の原案となったのは、2018年にデイヴィット・バーンがソロアルバムとして発表した『アメリカン・ユートピア』。そのツアーの後、2019年からブロードウェイで行われたショーとして再構成されたのがこの映画です。

今回の舞台のテーマは、”ステージの上から、一番大切なもの以外すべてを排除したら何が残るか”。ドラムセットや配線も、アンプやスピーカーもありません。舞台に立つデイヴィット・バーンと国籍もさまざまな11人のミュージシャン、そして観客以外は何もない、という斬新なステージ。ギターやベースだけでなく、キーボードやドラムのミュージシャンまで、全員がお揃いのグレーのスーツを着て、パントマイムやダンスパフォーマンスの要素も取り入れた斬新な振り付けで、裸足でステージを縦横無尽に動き回ります。

シンプルなステージですが、照明がダンスとシンクロするなど、アート作品を見ているかのよう。カメラの視点もぐっとミュージシャンに寄ったり、真上から撮ったり。1984年に公開されたトーキング・ヘッズの映画『ストップ・メイキング・センス』もそうでしたが、ただのライブ映画ではなく、視覚的にも楽しませてくれます。

歌うのは、アルバム『アメリカン・ユートピア』から5曲、トーキング・ヘッズ時代の代表曲から9曲のほか、計21曲。曲と曲の合間には、デイヴィット・バーンがコミュニケーションの大切さ、選挙の重要性、人種問題など現代が抱えるさまざまな問題ついて、ユーモアたっぷりに語ります。すべての歌詞に日本語字幕がついているので意味もよくわかり、後半あるカバー曲を演奏するとき、「なるほど、だからスパイク・リーが撮っているんだ!」と納得させられます。

歌と演奏、演出に圧倒され、メッセージに考えさせられますが、何よりミュージシャンも観客も多幸感に溢れていることに感動。映画館で身体を動かさずに観るのは難しいほど、ただただ楽しい時間が流れます。できればいい音響で観られる映画館で、多くの人に観てもらいたい作品です。

取材・文 赤木真弓

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