【私のこれから】料理研究家・枝元なほみ。直感と本能を信じ、料理と共に生きる道。

枝元なほみ

生きていく上で、自分の好きなことを仕事にできたら素敵ですよね。しかしながら、挑戦の中で苦労や課題も絶えません。一歩ずつ理想を叶えるために、「自分に可能なことを身近なところから始めればいい」と枝元さんは言います。苦境に屈せず、人々の食を想う枝元さんの生き方を伺いました。

枝元なほみ

料理研究家

周囲をぽっと明るく照らしてくれるような福々しい笑顔の人、枝元なほみさん。小劇団のまかない係からスタートして、料理家としてのキャリアは32年にもなるのだとか。

「料理が大好きだし、好きなことを仕事にしてこられたと思います。でも、もっと安く、もっと早くとか、もっと見た目をきれいにとか、そういう要望を聞きながらの料理はもういいかな、と思って」

今、枝元さんが気になっているのは、子供たちのこと、地球の未来のこと。日本で、世界中で、食の安全、安心が脅かされていることに心を痛めているのです。

農業を支援する活動「チームむかご」の代表をつとめたり、ホームレスの自立を支援する雑誌『ビッグイシュー日本版』で人生相談レシピのページを担当するといった活動はそうした気持ちが根っこにあるから。

「これからの困難な時代を生きていく若い人たちの、どうやったら役に立てるのか、大人だから考えますよね。大したことでなくても、きっとできることはあるはず。自分に可能なことを身近なところから始めればいい」

心が動いたら、自分の直感と本能を信じて、考える前に動き出す性格。温かいごはんを前にして幸せでない人はいない。2011年の東北の大震災のときも、ボランティアとして被災地を訪れ、料理の腕をふるいました。

でも農業にしても、ホームレスの問題にしても、いろいろな人がいろいろなことを言ってくる。あなたは何もわかっていない、勉強してから出直せ。専門家と呼ばれる人からそんなふうに言われることもしばしばとか。

「でも、分かっていないから何も言うなというのは違うと思うの。普通のおばちゃんである私たちは生きていくことの専門家なんだから、私たちの生き方は私たちが決めるよ、って思う」

そして今日もごはんを炊く。必要な人がいれば、おにぎりにして持っていく。そんなシンプルで小さなアクションが、子供たちにとってもう少しましな未来を作るきっかけになるかもしれません。

「料理さえ作れれば、どこでだって生きていけるのよ」、枝元さんはそう言って笑いました。

●シリーズ『私のこれから』
◎精神科医・香山リカさん。「人生後半の2回戦は、もっとわがままに」

『ku:nel』20211月号掲載

写真 三東サイ / 取材・文 船山直子

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