部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の甲斐みのりさんのバトンを受けてご登場いただくのは、織物作家の上杉浩子さんです。
上杉さん・暮らしのルール
1)朝は白湯を飲んで、ラジオ体操でスタート
2)一日一度は、ぼーっとしながら外を眺める時間を作る
3)季節のものを食べる
羊毛を洗い、染め、手で紡いだ糸を手織りするという、手間ひまかけたホームスパンで、マフラーやストールなどを作る上杉さん。
「ホームスパンの仕事は、とにかく目と手を酷使します。集中しすぎると体調を崩すので、適度に休みながらやるのが長く続けるコツ。一日に一度は、お茶を飲みながら、ぼーっと窓の外の緑を眺めて目を休めるようにしています。ありがたいことにわが家の庭には、たくさんの野鳥がやって来ます。美しいさえずりを聴くと、心身ともにリフレッシュして仕事を再開できます」
自宅で座り仕事なので、運動不足が気になっていたという上杉さんが始めたのはラジオ体操。
「ひとつひとつの動作と呼吸を意識して第1から第2まで。意外と身体が伸びて暖まり、朝ごはんもおいしくいただけるし、気分良く愛犬の散歩にも出かけられて一石二鳥です」
食べることが好きで、いつもおいしいものに囲まれている上杉さん。生命のエネルギーがぎゅっと詰まった季節のものから、元気をもらっているのだとか。
「歳を重ねて無理をしなくなりました。去年できていたことが、量も質もスピードもちょっとずつ落ちてきていることを実感して、今までは気力と勢いで何とかできたことも、身体と相談しながらできることを丁寧にやっていく、という方向にシフトしています。でもそれは残念なことではなく、このスピードだからこそ見える、景色や新しい発見があると思います。人生はいつだってその時々の味わいがあるのだと思うと、歳を重ねることも楽しくなります」
/
profile
上杉浩子/うえすぎひろこ
ホームスパン作家。「hou-homespun」主宰。刈り取られた羊毛を洗い、染め、手で紡いで作った糸を手織りし、マフラーやストールなどの巻き物を中心に、近年は服地も制作。毎年、展示会を通して作品を販売している。主な展示会先は「kit」(京都)、カモシカ(東京)など。
http://www.hou-homespun.com
上杉さんがバトンを渡すのは、手仕事作家、ライアー奏者の山下りかさん。「りかさんのように、優しく広い心を持って、何ごとにも分け隔てなく接することのできる人を他に知りません。りかさんの指から奏でられるライアーの音は、りかさんそのもの。混じり気のない純粋な愛が込められていて、いつも心の深いところまで響いて癒してくれます。もちろんファッションもその暮らしぶり(日本のターシャ・テューダーのよう)もため息が出るほど美しくて、いつもときめいてしまいます」と上杉さん。山下さんの暮らしは、1月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。