61歳の終活。整理収納アドバイザーが実践する「3つの片づけ」。いつ何があるかわからないので
〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバー、整理収納アドバイザーでエッセイストの青木美詠子さんの「終活」についての記事。本を読むなどして終活を勉強中だという青木さんが、片づけの観点で実践していることを教えてくださいました。
終活、されていますか。うちは夫64歳、私61歳の子供のいない夫婦です。50代から気になり、まだまだ勉強中ですが、年金事務所で遺族年金のことを尋ねたり、遺言書を法務局に預けたりしました。
今回は片付け方面で、大切だと思うことを3つお伝えします。
1/重要書類だけ分け、ありかを伝える。
私が20代の頃、父が突然倒れて亡くなった時、最も困ったのがどの保険に入っていて、どれがまだ解約されてないのかということでした。母は聞いておらず、私が引き出しから封筒を発掘しては、数々の会社に電話。保険金がひとつおりて、かなり助かりました。
なので、重要書類の把握は本当に大事。防犯上、分散も考えたいですが、自分達が忘れない場所のほうが大切かも。
実はいつ何があるかわからないので、どの年代でもこれは必須だと思います。人を失った悲しみの中、延々探して問い合わせはつらいですし、保険や預貯金に最後まで気づかなければ悲劇です(後で発見されて遺産相続がやり直し、などの例も)。
うちでは銀行や保険、サブスクなど紙にまとめ、ありかを含めて夫婦で共有しました。家族が「どの会社と何をしているのか」さえわかれば、だいぶ助かります。
2/デジタル遺品の対策を。
その書類が紙で残っていれば、まだ問い合わせられますが、今は多くがデジタルに移行し、見えずに困難です。
最も重要なのは、スマホやパソコンのパスワードとか。これがわからないと、携帯会社でも開けられないと聞き、夫に話して数年前に共有しました(お互い、見ないと信頼して)。
開けば、かなりのものがわかり、思い出の写真も見れるし、葬儀に呼ぶ友人も探せます。パスワードの解析会社もあるようですが、成功するかわからず、長期で高額のよう。でも生きている間は教えたくないなら、亡くなった時に家族が発見しやすい場所に隠しておく手もあるとか。
3/思い出の物は、頭の中の倉庫へ。
私は思い出の品は、まだ持っているほうかもしれません。仕事柄、若い頃のノートとか。写真も捨てられないので、新たにプリントしないとは決めましたが、アルバムから抜いてまとめたり、はまだ無理かも。
でも他のものは、徐々に方法論が。「コレクションや推しグッズなどは気持ちが変わったら、少しだけ減らし、重要な物に代表させていく」とか。あんなに好きだったのに、時がたつと価値も変わります。「写真に撮って処分」は、実家のランドセルなどに適用。お子さんの工作に、も多いですよね。
また最近「頭の中の倉庫は無限大」という考えも生まれました。高校時代、遠い街まで行き、お小遣いで買ったピーター・ラビットのカップ。長年迷っていましたが、ついにリサイクルに。
でも驚いたことに、その思い出はなくならなかったのです。頭の中にありました。これは処分のひとつの自信になっています。
また近年、頑張って整理しても「これ、私が死んだ時に全部いらなくなるんだ」と気づき、愕然。悲しいですが事実です。それなら大胆に処分し、人生を謳歌したほうがいいのかも。業者の処分費用も高額ですし、値上がりや、未来には回収困難もありそう。
気力体力があるうちに実行、は本当に重要なことなのです。一度には大変なので、「小さなパートに分け、1時間だけやってみる」なども勢いがつくかと。そして「自分が処分できた成功体験」が何より頼りになります。
いずれにせよ、物の処分より「重要書類を分ける」「デジタル対策」が優先。分かれていれば、あとは業者にも頼めます。まずはこちらから取り組まれては。
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この記事の
プレミアムメンバー
青木美詠子
1963年生まれ。整理収納アドバイザーの資格をもち、不定期にさまざまな自宅セミナーを開催。個人へのお片付けサービスも行う。著書に『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)など。長年実践する「冷えとり」に関する著書も。
https://www.aokimi.com/
Instagram:@aokimieko1616