シルバーヘアにしたら「席を譲る人」に分類されてしまった【これからのメロウライフvol.2】

エディターの山村光春さんと、エッセイストの広瀬裕子さんによる連載第二回目、山村さんの53歳エディターに忍び寄る「シニア」の呪縛に続き、広瀬裕子さんのターン。

「60代以降に使われる『シニア』という呼び方がどうもしっくりこない」という2人が、「私たちらしい人生の後半戦」について模索します。シニアでもなく、シルバーでもなく……。

例えば「メロウ」というのはどうでしょう?
クウネル・サロンらしい、「これからの人生」メロウライフです。

これまで重ねてきた世の中のいろいろなことへの違和感

59歳で自分本来の髪色になりました。(『シルバーヘア計画』の記事をご参照ください)。髪の色が変わると外見の変化は見てとれますが、内面はまだ大きな変化は感じていません。でも、本人の意識とは別に、変わりはじめていることがあるようです。

こんなことがありました。

髪のカラーを止め1年すぎたころ、電車のなかで席を譲られたのです。最初、何を言われたのかわからず、内容を理解するのに3秒ほどかかりました。髪の色が白くなると、世の中の人は「席を譲るべき相手」と分類するのですね。でも、それは、当然です。わたしだって、目の前に白い髪の方、明らかに歳上の方であれば「どうぞ」と声をかけます。

齢を重ねた方、お年を召した方と無意識にカテゴライズし行動する。そこには、細やかな観察やその人の背景はありません。髪の白い人=席を譲る人→シニア、なのです。

自分の感覚と、世間・世界の意識の間に少し違和感があるのは、以前からのことです。

「少しちがう」。なかなか、やっかいです。「絶対ちがう」でもなく「100%肯定」でもありません。それでも「やはりちがう」「違和感75%以上」であるので、大抵「ん?」となります。「ん?」となりながらも「もう、そこにひっかからなくても」と、遠くから見守るわたしもいます。

ただ自分の人生がつづいているだけなのに、なぜある時から「括り」が変わるのだろう?

シニア──。自分では、自分の人生がつづいているだけなので、そのなかに入ること、いるとは考えていませんでした。少なくとも、わたしは。自分の人生がつづいているだけなのに、突然、括られることについて、呼ばれることについて、やはり「ん?」となります。

シニアという言葉の括りには、いまは、狭い選択肢しかないように見えています。歳を重ねることのいい面より、困ること(本人と周りの人)、優先的なこと(こちらは周りの人対象)にフォーカスした話題が多いからかもしれません。「こうしないと大変ですよ」「こういうものならいいでしょう」という発信側の少しズレた(ごめんなさい)感覚です。

「何かちがう」。そういったことの数々も、過ぎてしまったことはいいのです。でも、これから訪れる「少しちがう」は、できればないとうれしいですし、あったとしてもこの先、早急に改善されることを願っています。

私らしい「成熟した」人生後半戦を

そういったいくつかの会話の中からでてきたのが「メロウ」という言葉。山村光春さん提案です。

メロウは、成熟という意味です。偶然ですが、わたしのこれからの目標は「成熟」です。でも、目標ということは、そこに達していないから目標でもあるのです。成熟した人になれたら、という儚い思い。成熟は、寛容とも違います。そこがポイントです。

これから──わたしの、わたしたちの「メロウライフ」がはじまります。それぞれに合った時間がすごせたら「歳を重ねるのもわるくない」と思えるのではないでしょうか。

~アフターメロウトーク~

山村

「成熟は、寛容ではない」この言葉に大きく、深く納得です!むしろ寛容になれないことのほうが、だんだん増えていってるような。

広瀬

ある方と「人は変えられない」というようなことを話していました。その時「自分を変えるしかないですよね。でも、自分も変えられない、ということがこの年齢でわかりました」(笑)と。

そんな中、寛容にはなかなかなれないけれど、それでも成熟はしていけるかも、という淡い期待があります。

山村

「自分に期待をする」っていいですね。がむしゃらでもないけど、あきらめてもいない。そのちょうど間の感じが、なんか好き。僕もマネします!

広瀬

自分に期待をする。期待しすぎも、期待しなさすぎもせず、いいバランスでいけたらいいですね。それがメロウなのかも?!

広瀬さんのトークイベントがあります!

自分らしく歳を重ねる─わたしらしい白い髪にしていくために─

ゲスト:薫森正義(ヘアサロン・SHI/GE)
日時:2024年8月24日(土) 14:00〜15:30
場所:NHK文化センター梅田教室
大阪市北区角田町8-1大阪梅田ツインタワーズ・ノース17階
チケット:会員4,004 円、一般4,697 円、オンライン3,300円
https://www.nhk-cul.co.jp/school/umeda/

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この記事の
プレミアムメンバー

広瀬裕子

執筆のかたわら、50歳から空間設計の仕事をはじめ、現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどのディレクション、フードアドバイス等にも携わる。著書に『55歳 おとなのまん中』(PHP研究所)など多数。
Instagram:@yukohirose19

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