足にホクロを発見。もしかして癌?!それから「死ぬ」「生きる」について考えてみた

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーで、整理収納アドバイザーの青木美詠子さんが、足に見つけたホクロから考えたことについて。「生きるとは?」「有効に時間を使うこととは?」

ある日見つけたホクロから思わぬ方向に……

7年前のこと。ふと、お風呂で足のくるぶしの下あたりを見ると、ホクロができていました。ホクロというより、形が丸くない、5ミリ程の黒いシミのようなもの。「あれ、こんなのあったかな。いや、前からあったら気づいているはず」と思いつつ、気になって検索すると、「メラノーマ」というものが浮かび上がってきました。

「メラノーマ」は、「メラニンをつくり出す皮膚細胞から発生する癌」とのこと。「普通のホクロとの見分け方」もありましたが、よくわかりません。日本人は10万人に1~2人と少ないようですが、病気のことを検索すると、こわいことばかりです。

少し考えていましたが、やはり不安で、詳しそうな皮膚科の病院を検索して行ってみました。すると「はっきりしないので、取っちゃうのが簡単です」と言われ、「え、その可能性もあるのか」と頭が真っ白に。

その日は「ちょっと考えます」と病院を後にしましたが、もう暗くなった見知らぬ住宅街を歩きながら、「あれえ。死んじゃったりすることあるのかなあ」とぼんやり思いました。こんなことは生まれて初めてなので、「取れば治る」という事実は冷静にとらえられず、癌の可能性があることで頭がいっぱいでした。

私は自分が死ぬことについては、そこまでなんとも思っていないほうではあります(本当にその時になったら、もちろんジタバタすると思いますが)。若い時なら違うでしょうが、もう十分幸せな人生を送ったな、とも思うので。でも残された人(主に夫)が悲しむのがかわいそうだし、家事など生活がたいへんだろうから、死にたくはないというのが大きいです。

それですぐ翌日、また別の皮膚科を受診したら、「違います。ホクロですよ」と詳しく説明してくださり、力が抜けました。とてもいい先生で「心配されましたよね」とも言われたので、急に涙ぐんでしまい、「そうなんです。危ないのかなと思って」とか少し話をしました。

病院って心細い人達が来る場所だから、思いやりのある話し方の先生って神様のよう。胸いっぱいで帰宅しました。

リビングから見た「小さなボサボサ庭」の一角。

「死」を意識したときに感じる「生きる」について

幸い私は何もなく、変わらない日常が送れていますが、「死んでしまうのかな」と思いながら帰った、あの暗い住宅街の景色は忘れられません。

その時思ったのは、「夫ともっといろんなところに行ったりして、遊んでおけばよかったな」ということ(かなり行ってるほうですが)。そして自分でも驚きましたが、仕事で「もっとこれをやりたかった」は1ミリも出てきませんでした。日頃は仕事方面で、もっとやりたいとか、うまくいかないとか、年齢と共に下り坂とか、すごく悩んでいるのに。

人は本当に大事にしたいものに、日頃は気づいていないのかもしれません。失った時や失いかけた時に、初めて気づくことが多いですよね。健康の尊さ、家族の温度、仕事がある安定感。今持っているものはすべて当たり前で、ノーカウントとなっており、その土台に立って目につく不満をマイナスに数えているのです。

その土台が崩れた時、やっとありがたさに気づくのですが、ちょっと遅いんじゃないかと思うわけです。「生きている」、「家族がいてくれる」、「仕事がある」は当たり前ではありません。

私もそれからは、夫と共に応援する野球チームをテレビで見ている時間も、「一緒に楽しいことをしている。よい思い出になる時間」という肯定感が強くなった気がします。夕飯時に、短縮して追っかけ再生が多いですが、それでも普通の人より時間を使っているので、うしろめたい気持ちもずっとありました。でも「一番大事にしたいのって、これなんだよね」と思い返すことも多くなっています。

ご飯も大切な時間。

本当に大事なものさえ見失わなければ

今の若い人は、早くからワークライフバランスを考えたり、家族や趣味を大事にする方も多いようですね。長年、仕事を頑張って、結果的に家族をないがしろにし、定年後に急に大切にしようと思っても無理かもしれないので、少しずつやっていくのがいいんじゃないでしょうか。

思い出すのは、以前読んだ話。仕事人間のサラリーマンが定年後に世界旅行に妻を誘い、喜ぶと思ったら、「やめておきましょう(友達とのほうが気楽)」と言われたとか。かわいそうですが、衝撃を受けました。

あなたのいちばん大事なものは何でしょう。何もない日々の中で考えてみたり、何か少し実行してみるのもいいかもしれません。

 

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この記事の
プレミアムメンバー

青木美詠子

1963年生まれ。整理収納アドバイザーの資格をもち、オンラインを中心にセミナーや個人へのお片付けサービスも行う。著書に『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)など。長年実践する「冷えとり」に関する著書も。
https://www.aokimi.com/
Instagram:@aokimieko1616

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