人生経験を積んでいくと、親しい人との関係性も少しずつ変化するのは当然のこと。良い関係を楽しめている夫婦が語る、つながりや今の距離感を保つ秘訣とは?
津曲久美子・公夫/つまがりくみこ・きみお
モデル事務所「オアシススタイリング」を夫婦で経営。
ともにモデルとして広告やCMにも出演。久美子さんは専門学校で講師を務め、公夫さんもアパレルメーカーを退職後、ファッションのプロを育成する教育の道へ。業界ではおしどり夫婦として有名。
昨年で結婚38年目を迎える津曲さん夫妻。子育てが落ち着いた50代で久美子さんが会社を設立、公夫さんは4年間単身赴任と、すれ違いが続いた時期もあるそうですが、60代前半に別荘として購入した熱海の家に4年前から居を移し、二人の関係性もまた変わったと言います。
「夫が関西の大学を退職して時間の余裕ができたのが大きいですね。夫婦一緒の趣味を見つけて楽しんだり、朝ごはんを夫が作るのもルーティーンになりました」
公夫さんがサラリーマン時代は朝、 顔を合わせる程度だったのが、今はほぼ24時間一緒。
「それでもうまくやれているのはお互い言いたいことを言い 合うから」と言います。「がまんしてストレスをためるほうが、ぎくしゃくすると思う。料理もほめてばかりじゃ上達しないから、味の感想も正直に言います」と久美子さん。
家事も得意なほうがやる主義。それも関係をスムーズにする秘訣のよう。「食器の片付けは僕の役目。久美は食事のあとゆっくりしたい。でも僕は使った食器をそのままにしておくのが大嫌いだから、だったら自分で片付ける。お互いペースも違うし、やってもらったことに対して、想像や期待と違う場合もあるけど、文句を言うだけじゃいけないよね」と公夫さん。
そして仲睦まじい二人にあるのは尊敬と感謝の気持ち。誰とでも仲良くなれる明るく社交的な久美子さんを尊敬 していると語る公夫さんに、「何より私の話をたくさん聞いてくれることがありがたいです。これからもよろしくお願いしますね」と少し照れたように笑いかけた久美子さん。夫婦の会話の大切さが伝わってくるひと言です。
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/山本倫子、取材・文/矢沢美香