【坂井より子さん・飾らない。vol.5・インタビュー後編】「自分がいかに気持ちよく過ごせるか、それだけなんです」

メイクボックスを見せてくれる坂井より子さん

主婦歴50年と大ベテランの坂井より子さん。2022年2月に新刊『飾らない。76歳、坂井より子の今を楽しむ生き方』が上梓されました。

坂井さんにとって3冊目となる本書。いままでよりも深く、これまでの人生のことなども綴られています。また、なかには夫やふたりの子どもたちからの言葉もあり、坂井さんの生き方、暮らしぶり、笑顔の秘訣を垣間見ることができます。

著書には59のエッセイが収められていますが、その一部をシリーズでご紹介してきました。今回はシリーズ最後のインタビューの後編をお届けします。

インタビュー前編はこちら⇒【坂井より子さん・飾らない。vol.4・インタビュー前編】「細かいことは気にしない。でも、日々の感謝は忘れずに」


■15年続けた料理教室。好きだったからやってこれました。


ーー引き続き、お料理についてもう少しお伺いさせてください。お料理教室を始められたきっかけはなんだったのですか?

坂井さん(以下、坂井): 本当のきっかけというと、まだ子どもたちが小さかったころ、私自身がお料理教室に通っていて、その先生の存在が大きいかもしれません。当時、先生からいただいたレシピはいまも残っているんですよ。

ーーすごい!どことなく洋風なお料理が多い印象ですね。

坂井:当時はこういう西洋料理が流行っていたんでしょうね。
こうやってお教室に行ったり自分なりに工夫しながら料理をしたりして、40代後半のころに、仲良くしていたお友達にお料理を教えてほしいと言われたのが私が料理教室を始めた最初なんです。

私が教えていたのは、ごく普通の家庭料理。参加されるのも主婦の方が多かったので、その日の晩ごはんにご主人やお子さんのために作ってもらえるようなものをと思ってチョイスしていました。

レシピは至極シンプル。材料も工程も必要最低限でしたし、手を動かしながら自分でメモを書き加えて完成させてもらうというスタイルでした。
基となるレシピはありながらも、ご自分でくり返し作りながら、自分好み、家族好みのお料理にしてもらえたらと思っていましたね。

そんなことを15年ほど続けさせてもらっていたなかで、娘がアメリカから帰国することになったため、料理教室は一旦お休みすることにしたんです。

坂井より子さんのレシピブック
当時、坂井さんが通った料理教室のレシピ。40年以上前のものだけれど、いまでもきれいにファイリングされている。

■小さな家事ひとつでも、時間を把握しておくといいですよ。


ーーお料理はもちろん、お家もとてもきれいに整っていますね。苦手な家事というのはないのでしょうか?

坂井:そうですね。掃除も洗濯もとくに苦手ということはないけれど……。強いて言うと掃除機はあまり好きじゃないですね。あの大きい音がどうにも苦手で……。そんな私を気遣ってくれているのか、私がいないときに夫が掃除機をかけてくれているようです。

ーー家事を効率よく進めるコツなどはありますか?

坂井: 50年もずっとやってきたことだから、あまり意識したことはないけれど、家事にかかる時間を計ることはおすすめだと思います。

たとえば、朝食後の食器洗いにどのくらい時間がかかるのか、リビングの片付けや掃除にどのくらいかかるのか、日ごろの家事の所要時間を 自分なりに把握しておけば、惰性でダラダラとやることもなく時間を区切って効率的に動けますよね。

私の場合は、 お友達とお出かけする前に身支度が終わって時間が余ったとしたら『あと10分ある!それならあれをやっちゃおうかな』と時間ギリギリまであれこれ動いているんです。 ソファに座ってただただ時間が来るのを待つのではもったいない!ってね(笑)

ーー御本でも、お出かけの日の家事のことについて記されていましたね。

坂井:そう。それはいつも意識していますね。だって、せっかくのお出かけから帰ってきて、部屋が散らかっていたり、シンクに汚れたお皿があったりしたらがっかりしちゃうでしょう。

だから、お出かけする日はできるだけ先回りして家事を済ませておき、帰ってきたらその余韻に浸ってゆっくりお茶でも飲めたら、それはいい気分ですよね。

食器洗いに関しては、食事が終わったらお皿や道具はすぐに洗って水けを拭き取り、元あった場所にしまうことも心がけています。だから、いつもシンクや洗いかごにはティースプーンひとつありません。
だって『さてお料理をしようかしら』と思ったときに、洗い物が残っていたらマイナスからのスタートになってしまうから。
気持ちよく家事が進められるように先回りしておくことは、自分ではあまり意識していないけれど日々やっていることかもしれませんね。

坂井より子さんのリビング
大きな窓から入る光が心地よいリビングの一角。クッションカバーは坂井さんが手縫いで縫ったもの。隅々まで掃除が行き届いていて気持ちがいい。

■ヘアもメイクも何もしない。自然体がいちばん合っているようです。


ーー話は変わりますが、坂井さんのグレイヘア。とても素敵ですね。

坂井:ありがとう、うれしいです。パーマはかけているのですが、カラーは何もしていないんです。ヘアに関しては、毎朝、頭を洗ったらムースをつけるだけ。拍子抜けするくらい簡単なんですよ。

お恥ずかしながらお化粧もほとんどしていません。基礎化粧品に至ってはドラッグストアで購入できるオールインワンのクリームのみ。
以前はどこそこのお高い化粧品を使っていたこともあったけれど、そのころよりもいまのほうがずっと肌の調子もよい気がしますね。

ーーまさにご著書のタイトル、飾らない。なのですね。

坂井: そうですね。メイクやヘアもですが、洋服も普段着のスカートで毎朝の海へのお散歩へも行くし、隣町へのお買い物にも行きます。
私が着ている洋服は自然素材のものでどれも洗濯機で洗えるもの。だから、料理をするときもエプロンもせず、このままです。

ヘアやファッションに限らず、家のことや家事、家族との関わりも、自分が気持ちよく過ごせるかどうかが大事だなと思っています。夫のため、子どもや孫のためにあれこれ手を動かすこともあるけれど、すべて自分本位だし、私、とっても自分勝手なんです(笑)

私が日々やっている取るに足らない些細なことが、どなたかの参考になったとしたら、それはうれしい限りですね。

メイクボックスを見せてくれる坂井より子さん
メイク道具を見せてくれた坂井さん。ヨーグルトの空き容器を上手に使っていたのが印象的。

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聞き手/結城 歩

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