ニットオブジェのアーティストとして、コム デ ギャルソンなど、さまざまなブランドとのコラボレーションも発表し、評価を得ているオーレリー・マチゴさん。ご自宅には自身の作品も含め、世界中から集めた美しい器たちと寄り添う、豊かな暮らしがありました。
Aurélie Mathigot/オーレリー・マチゴ
パリ生まれ。ソルボンヌ大学で美術史と哲学を専攻後、アートビジュアルも学ぶ。独自のスタイルを確立した作家として活躍。
画家の父、ジュエリーデザイナーの母のもと、小さな頃からアートに触れて育ったオーレリー・マチゴさん。
「大学に在学中、父の友人が経営するカフェのインテリア装飾を任されたことをきっかけに、身近にある何気ない材料で美しいオブジェが作れることに気づきました。
また世界中を旅しながら、いろいろな土地に根づくニット編みの文化にも惹かれ、作品に取り入れるようになったんです」
オーレリーさんの作品は、かぎ編み針、いわゆるクロシェ模様のアートワークが中心。作品は器であったり、 ニットそのものであったり、そのふたつの組み合わせであったり。
その中でも話題となったのが、人気の陶器ブランド、 アスティエ・ド・ヴィラット とのコラボレーションです。
「友人のアーティスト、ナタリー・レテと2009年に初めて参加し、その後はコンスタントにコラボしています。今はアスティエが売り物にできない焼きムラや傷ができたものに、クロシェ編みを加えたオブジェを製作しています。使える器を捨ててしまうのはもったいないと、 私が提案して実現しました」
そんな自身の作品も含め、好きな器に囲まれて暮らすということは。
「私にとって好きな器とは美しい器。 それを眺めているだけで、人生がより豊かになる気がします。たとえ主観でもいいから、そんな“とっておきの美しいもの”と一緒に暮らせることが何より幸せです」
写真/篠あゆみ コーディネート/鈴木ひろこ 構成・文/今井恵 再編集/久保田千晴