パリに暮らして5年目になる〈クウネル・サロン〉メンバーの松永さん。フランスでは厳しい外出制限がかかった「ロックダウン」が7週目に突入しましたが、パリの街も人々も次なるステップへと進んでいるようです。
3月17日からロックダウン(都市封鎖)が始まったフランス。二度目の延長で、その期間は5月11日までとなりました。この非日常的な長い在宅時間の中で、私たちに課されているのは「健康でいること」だと日々感じています。そのために、心身ともに健やかでいられるよう、無理して毎日高い目標を立てたり、1日にあれもこれもこなそうとせず「今日できることだけ頑張ろう」を目標に、長い目で見ながら暮らしています
私の現在の外出は、週1~2回の買い物と散歩が基本です。散歩は気分転換になりますが、買い物は気を使うことも多くなかなか大変。それでも「欲しいものが買えた!」という嬉しさがありますし、当初、紙ベースだった外出証明書はスマートフォンでも提示可能になり、とても便利になりました。また、最近は外出するたびに、街や人々に変化を感じています。
まず、マスク姿の人がぐっと増えました。この状況下で当然のことではありますが、マスク文化がないフランスで、これはかなりの驚きです。日本では見ることのない「クチバシ型」のマスクや、かわいい布でできた手作りのマスク、マスク風に巻いたスカーフなどさまざま。今後、この文化が定着するのか気になるところです。
そして並ぶときに人との間隔をあける、いわゆる「ソーシャル・ディスタンス」が自然に行われるようになったこと。お店のレジ待ちの際には、目安として1メートル間隔で貼られたテープに従って並び、外に並ぶときには自主的に距離をとっています。通常、日本と比べて人との距離がかなり近いフランスですが、こちらも今やすっかり定着。そして離れて並びながらもマスク越しに「なかなか入れないわねー」とか「調子はどう?」と見知らぬマダムが声をかけてくれるところにフランスを感じて、ちょっと気持ちが和みます。
静かだった近所の商店街は、先週から動きが出ています。休業していたレストランはテイクアウトメニューを始め、お花屋さんや日用雑貨店など、もともと営業許可が出ながら閉めていたお店も、シャッターを開きました。まだロックダウンが続くパリですが、人々の目は少しずつ、その先の生活へと向きつつあるのかもしれません。