国際中医専門員の資格を持ち、「衣食で心と身体のケア」をテーマに、ライフアンドファッションスタイリスト®として活躍する、やくぜんもとこさん。クウネル・サロンでも、薬膳やファッションがテーマの記事を担当しています。
やくぜんもとこさんが現在のキャリアをスタートしたのは、実は51歳のとき。過労から体調を崩してしまったことで、26年近く勤めた会社を早期退職。このことがセカンドキャリアを考え始めたきっかけだそう。
そんなやくぜんもとこさんが、今のファッションと食という軸の仕事を見つけるまでのお話を全4回のショート連載でお届けします。
第3回となる今回。vol.2の「薬膳を学ぶきっかけと、国際中医師試験に合格するまでの道のり」に続き、48歳からスタイリストになるためのファッションの勉強をスタートしたお話をお届けします。
退職したばかりの頃、クローゼットの3分の2は、会社通勤用の洋服が占めていました。 ただ、見る度に辛い記憶が蘇るので全て断捨離をすることに。
断捨離後に残った洋服は2つのテイスト。1つはチノパンツやボーダーカットソーなどカジュアルなもの。もう1つはよそいき用のワンピースなどの女性らしい服と両極端です。
◆おしゃれが好きなのに、着たい服が見つからず悩む日々。
当時のお出かけ先と言えば、近所のスーパー・図書館・通院・実家・ハローワークが中心で、おしゃれして出かける機会はほとんどありません。もともとおしゃれすることが大好きで、おしゃれを楽しみたいと思っても、なんでもない普通の日に、何を着たら気分が上がるのだろう?と悩みはじめました。その時すでに47歳。
当時、年齢に合いそうなお店へ足を運んでも、着たい洋服は見つからず、買わずに店を出ることがほとんど。読んでいたファッション誌も、通勤着やお出かけ着ばかりで全く参考になりませんでした。
そこで、思いついたのが、洋服のスタイリングに関する本を片っ端から読んで勉強をすること。タイトルが気になった本を中心に50冊以上は読んだと思います。そのうちに運命の一冊に出会いました。
その一冊とは、現在の師匠であるスタイリスト・山本あきこ氏の『毎朝、服に迷わない』(ダイヤモンド社刊)でした。
この本を読んで驚いたのは、UNIQLOやGU、ZARAなどのプチプラブランドのシンプルな洋服で、おしゃれなコーディネートができるということ。「これだ!」と思い、ほぼ本の通りに洋服を揃えていきました。
ただ、1人で色々と試しているうちに「自分にはどんな小物が似合うのか?」「年齢的にイタイ服装にならないコツは何だろう?」など疑問が次々と湧いてきました。
◆山本あきこ氏主宰の『ファッションカレッジ』受講スタート
2017年7月。山本あきこ氏主宰の『ファッションカレッジ』にて、コーディネート理論を学ぶことを思い切って決意。独身時代からの貯金から受講費用を支払い、夫に内緒で申し込みました。自宅で好きな時間帯に動画を見ながら学習ができるため、動画コースを選択。
夫が仕事に行っている平日の昼間に、4か月間の受講がスタートしました。受講していた同期は、総勢35名(うち通学コース30名+動画コース5名)の20代〜40代のおしゃれが大好きな女性たち。
同期たちの熱量はものすごいもので、同期のグループLINEは連日200を超えるコメントで埋め尽くされました。
私は年齢的にも目立ちたくはない…と思いつつも、学びはアウトプットも大事!と考え、LINEにアップされたみんなのコーディーネート写真に対してできるだけコメントをしたり、慣れない自撮りのコーディネート写真をアップしたり、積極的にコミュニケーションを取ることを意識しました。
自撮りはアップしても、みんなへのコメントをする同期は少なかったので、卒業式のときに「いつもコメントもらって嬉しかった、ありがとう!通学コースじゃなかったんだねー。びっくり!」と何名かの同期に驚かれて、とても嬉しかったです。
ファッションカレッジ入学前は、洋服のコーディネート理論を教えてもらえるんだ!と思っていましたが、実はひたすら自分と向き合う作業の繰り返し。
「どんな服を着たいか?」「どんな服が好きなのか?」「どんな自分でいたいのか?」などなど。自分の内側から次から次へと湧き起こる疑問ひとつひとつから目を背けず、とことん掘り下げていきました。
時には周りの受講生と自分を比べて悩んだり、落ち込んだり、泣いたりすることもありました。しかし、嬉しいことや胸が熱くなるようなこともたくさんあり、これほど感情を揺さぶられるような学びの時間は今まで経験したことがありません。
ファッションカレッジでの4ヶ月間は、ファッションを通して、ずっとおざなりにしていた、自分の本当の望みや気持ちに向き合った、かけがえのない時間となりました。
◆さらに上級者向けの『ライフ&ファッションスタイリスト養成講座』へ
『ファッションカレッジ』での学びを経て、ファッションが気持ちに与える影響の大きさを体感し、「今度はかつてのわたしと同じように悩んでいる、同年代の女性の力になりたい」と新たな目標を見つけました。
そこで、2018年4月より同じく山本あきこ氏主宰の『ライフ&ファッションスタイリスト養成講座』を受講スタート。講座の内容は、ファッション理論と実践の両輪で進められました。
今でも尊敬してやまない師匠・山本あきこ氏に、スタイリングの基本に始まり、お客さまへのご提案の仕方や寄り添い方、さらにはSNSでの発信のコツなどを学びました。
さらに、親族や友人にモニター協力をお願いしたり、SNSで一般のモニターを募集したりと初めてのことばかり。毎回頭から湯気が出るのではないかと思うほど、密度の濃い半年間を過ごしました。
そして、2018年9月に念願のライフ&ファッションスタイリストとしてデビュー。お客さまの自分軸を大切にした服選びやセミナー講習など、ファッションサービスを続けています。
ファッションに迷うときは、今後の生き方や自分の在り方に迷うときなのかもしれないと、今では思います。
●やくぜんもとこさん連載 50歳からのセカンドキャリア
vol.1「過労で体調を崩し、48歳で早期退職した当時のこと」