【松浦弥太郎さんが考える投資vol.1】「お金儲けではなく、先の未来について考え、行動することです」

松浦弥太郎 僕が考える投資について

50代のクウネル世代にとって、今後の資産形成は重要な課題。「投資」についても考えている方が多いと思います。そもそも投資とは?『僕が考える投資について』(祥伝社)を上梓した松浦弥太郎さんの、投資についての明快で健やかなアプローチをご紹介します。そこで見つかるのは、自分の価値を高め、豊かに生きるためのヒントです。

先の未来について考え、行動する

これから、多くの方が関心を持っている投資について、あらためて考えてみようと思います。投資の話というと、ほとんどの人が「お金儲けの話」だと考えるのではないでしょうか。

仕事で得たお金を株式や債券に投資して、資産が増えたり減ったりする。貯金とは別に、老後の備えを蓄えていく。いわゆる、資産形成のための「金融投資」ですね。最近では少額から始められる金融商品も増えたことで、たくさんの投資関連本があふれていますし、「将来のためにみんながすべきこと」として語られることも多くなってきました。

しかし、僕の考える投資の定義は、「お金儲けやお金を増やすこと」とはちょっと違います。
投資とは、「先の未来について考え、行動すること」です。

今、自分が持っているお金や時間、知識や経験を使い、日々の仕事や暮らしにおいてどんな選択をすれば未来をいい状態にできるのかを考える。

これが僕の考える投資です。決して、ただお金を増やせばいいという話ではないのです。

そもそも投資とは、ざっくり言うと「自分が差し出した資産に対して、将来のリターンを見込むこと」です。株式投資の場合、将来的により大きなお金を得ることを期待して、手持ちのお金を差し出します。

僕の考える投資、「先の未来について考え、行動すること」も、本質は同じです。

たとえば、口に入れるものひとつをとっても投資です。

松浦弥太郎

日々の暮らしの選択すべてが、未来の自分につながっている

僕たちは毎日、水を飲みます。それは日常のワンシーンであり、ほとんど無意識に行なっていることかもしれません。

しかし、水を飲むことは生命維持を目的とした投資であり、将来的な健康というリターンを目的とした投資でもあるはずです。ですから、「どんな水を、どのくらいの量、どのタイミングで飲んだらいいだろう? それによって未来の自分はどんな健康状態になるだろう?」と考えれば、さらに優れた投資になるのです。ここで差し出している資産とは、自らの思考。調べる、比べる、考える、決断を下す、といった労力を差し出すことによって、価値の高いリターンを得ようとしているわけです。

同じように、どんな食べ物を、どれくらいの量、どのような調理法で食べたら、未来の自分はどんな健康状態でどんな体型になっているだろうかと考える。これも、立派な投資です。

食に関することだけではありません。運動の習慣や睡眠の取り方、あるいは仕事への取り組み方、人とのコミュニケーションの取り方、そして情報収集の方法、すき間時間の使い方だってそうでしょう。

今のこの選択が、自分の未来にこんなふうにつながるんじゃないかなあと考え、選択していけば、それはすべて投資になるのです。

何も考えずに場当たり的に生きること、「今が楽しければいい」と開き直ることは簡単です。でも、それでは自分の大切な時間やお金を浪費しているだけ。

投資から目を背けていては、いつまで経っても望む未来はやってきません。 淡々と投資を積み重ねてきた人とそうでない人とでは、数年後、大きな違いが生まれているのです。

「将来、こんなふうになったらうれしいな」とわくわくするような、自分が望む未来につながる選択肢はどれだろう?

そんなふうに問いかければ、きっと、今選ぶべきものがパッとわかるはず。

落ち着いて、理性的に、コツコツと。それが、未来への投資です。

イラスト/ミヤタタカシ

※本記事は『僕が考える投資について』(祥伝社刊)からの抜粋です。

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