【家内製手工業人のこだわり部屋/前編】自分らしさの小さな家には、フロアごとの物語がある。

石澤敬子

一人暮らしの気ままな快適さと、外にも開かれた仕事場の機能があり合う家。住む人らしさを映すトーンを感じ、フロアの個性に興味惹かれて。家内製手工業人の肩書で、自身のブランド〈moss*〉で洋服作りをする石澤敬子さんのこだわりの一軒家にお邪魔しました。まずは1階部分から!

◎1st FLOOR

服作りに集中したり、ワークショップを拓ける流動性ある空間。

石澤敬子
玄関からすぐが、布の裁断ほかの作業やワークショップ、小物の作家などを紹介するイベントを開くプレーンな空間。「時期が来たらもっと参加者を集めるイベントもやりたいですね」。海外から届いた木製コンテナを会社で譲ってもらい、店舗デザインを手掛ける「マウンテンスタンダードタイム」に依頼して作業台に。また照明は2階と同じ「リバーサイドファーム」。奥にある、デザインやミシン掛け作業を行う小部屋も、まさに篭れる作業室です。

賑やかな商店街から少しそれると、住宅街になじんだ白い家があります。長年住んだ都心から実家の近く、川崎市内に戻ってきた石澤さん。「ここは昔家族で暮らした場所でした。母から家を建てては?とすすめられたんです。先々兄たちと地元で助け合って暮らしてほしいというのが母の願いですし、タイミングを感じ、駐車場だった土地に家を建てることに」

石澤敬子
古い道具をリメイクした「リバーサイドファーム」の照明器具が趣きたっぷり。これは元・漏斗だとか。

アートやデザインに造詣が深い石澤さん、理想の空間イメージを設計事務所の人に伝えるそうです。「バウハウスの世界観やル・コルビュジエの『小さな家』が念頭にあって。家自体はシンプルな箱がよかったんです。」会社に勤務しながら自らのブランドをもち「家内製手工業人」を自称する石澤さん、ものづくりの時間も大切にするために、空間の分け方、使い方を検討。

石澤敬子
長く親しむミシンを使いながら、愛する世界を服や小物として紡ぐ作業を。ほどよい狭さが快適。
石澤敬子
1階の作業部屋には、作り付けの棚。以前の家に置いていた味わいのある古道具やオブジェを陳列。
石澤敬子
横長の窓辺にはフラワーベースやグラス。以前から持っていたものを並べただけで自ずと統一感が!
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「1階をワークショップも開けるような外にも向いたアトリエにするのが、いちばんの課題。あとは完全プライベートフロアを上に作り、中間フロアでは人を招けるように考えました」。空箱を自分だけのセンスでデザインしていくのは、自由で楽しそう!?

「窓の形とか建材とか好みを貫きたくもありましたが、予算も考えスタンダードな規格で満足として、ただ要所要所ではこだわりましたね」

石澤敬子
玄関へのアプローチにあしらわれた植物は「アリゾナ風?」。NO PARKINGのサインは手づくり。
石澤敬子
「リバーサイドファーム」の照明に社員旅行で北欧に行った時見つけた天秤をかけて。
石澤敬子
製作用のボディやラックなどデザイナーの部屋の必需品もアンテークで、雰囲気がある。
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たとえばアトリエはバウハウスのデッサウ校舎のイメージで格子のガラス戸をオーダー、キッチンのキャビネットは特注で作ってもらうなど。3年前に完成。家の随所には買いためていたアンティークやアート作品などを置き、以前の家から家具も大切に使います。「コンテナをリメイクしてもらった家具以外、新しいものはないですね」。基本は無骨、メンズライクなインテリアに、階ごとの塩梅でガーリーな演出も加わって、独特の落ち着く雰囲気があります。

「古いもの好きの私。実は最初、新築の家で大丈夫?とも思ったのですが。好きな物に囲まれて暮らすと、だんだんに私らしさは深まってきた気がします。作業の部屋には篭る感覚があり、出勤前にベランダで珈琲タイムを取るといい切り替えもできます。その変化が生活に豊かさを加えて」。時とともに住人と部屋のハーモニーは、豊かさを増して行きそうです。

『ku:nel』2021年7月号掲載

写真 伊藤徹也 / 取材・文 原 千香子

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