リレー連載【住まいと暮らしvol.003】まるで美術館!人気セレクトショップオーナーが自分のために選んだ日用品とは?―恩田登喜枝さん

住まいと暮らし003_恩田さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載の三回目。森慶子さんからのご紹介でご登場いただくのは、洗練された大人の女性から絶大な人気を誇るセレクトショップ『OCAILLE(オカイユ)』のオーナー・恩田登喜枝さんです。

登喜枝さん・暮らしのルール

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1)自分が気に入ったものだけを集める
2)食事の時間を大切に(作ってくれる夫に感謝)

服、バッグ、靴、アクセサリー、雑貨など、さまざまなアイテムが、オーナーの恩田さんのセンスで集められている『オカイユ』。 ヴィンテージのもの、新しいもの、そのどれもが心地よく調和しながら、お店の世界観をつくりあげています。

その審美眼は、恩田さんの自宅でも大いに発揮されているようです。
「日常的に使うものは、なるべく妥協せず選びたいと思っています。好みのデザインで、部屋の雰囲気にも合って、機能も備わっているようなものであれば、気分が良くなることはもちろん、手入れして長く使えますし、自然と部屋を整えたいという気持ちにもさせてくれますから。でも、これってなかなか難しいですよね。簡単には見つかりませんが、とりあえず……と、間に合わせでなにかを買うのであれば、見つかるまで、手持ちのものを工夫して使うように心掛けています。少しくらい不便も、楽しむくらいのゆとりを持ちたいですね」

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6年ほど前から住む、都心の小さなデザインマンション。部屋の中心に据えるのは、オーダーで作ってもらったという横長のダイニングテーブル。「カラーチップを拝見しながら、うっすら緑がかったアイボリーを選んだ……つもりが、実物はペールグリーンでした(!)。でも、すごく気に入ってます。ソファは旧家からの愛用品で、東京・駒沢の注文家具店『GECKO』でセミオーダーしたもの。ここでのんびりするのが、至福の時間です」
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デンマークのテキスタイルブランド『Kvadrat(クヴァドラ)』のカーテン。いつか、ミラノのショールームで見かけたこのピンクのカーテンに、ずっと憧れていたという恩田さん。「でも、ピンクのものはインテリアにも、身につけるものにも持っていなかったので、自分にとっては大冒険。実際決めるまでに、かなり時間がかかりましたが、すごく気に入っています。よく見るとピンクと白っぽい糸で織られていて、その日の天気や時間次第で、ピーチっぽい色に見えたりして、その変化も美しいです」
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ソファのファブリックも、カーテン同様『クヴァドラ』で統一。「旧家時代は水色でしたが、ここではピンクのカーテンに合わせてライトグレーのカバーにチェンジ。たくさんのメーカーの生地を見たのですが、最終的にやっぱり『クヴァドラ』のこの色味と質感がいちばん素敵で、家具屋さんに生地を取り寄せていただきました」。ソファ上の本は、以前アムステルダムの書店で購入したドイツのアーティスト・アンドレア・ティッペルの作品集。「残念ながらもう亡くなってしまったのですが、ミュンヘンに彼女の作品を多く扱うギャラリーがあるそうなので、いつか訪問し、オカイユで展示をするのが私の夢です」
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アクセサリーやスカーフ、領収書やハガキなど、細々したものは箱に収納することで、すっきりをキープ。「ハイブランドの箱などは、捨てるには惜しいものもありますし、市販の収納ボックスより素適なデザインも多いです。ベンチ上、右から二番目の羽が敷き詰められた箱は、元々陶のネックレスが入っていましたが、今は時計やアクセサリー入れとして活用しています。ダークグレーの箱は無印で、大サイズの箱に小サイズ2つを重ねれば、ちょうど大きさが揃います」
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「食べ物の中で一番、果物が好き!」と言う恩田さん。「味はもちろん、色や形、佇まいも麗しく愛らしいですよね。神様が作ったグッドデザイン賞だと思ったりするほど。甘夏や文旦、葡萄など、国内で丁寧に育てられた果物は、わたしのエネルギー源です」。この日スモモを盛った器は、京都のライフスタイルショップ『ケイオカイライ』で購入した、辰巳香さんのもの。「予想以上に使いやすくて、どんな料理もおいしそうに見せてくれる器です。薄ピンクの桃やスモモとも相性抜群で、初々しい愛らしさが引き立ちます。隣の青い染付のカップは日本の古いものらしく、龍の絵が特徴です。こんな使いやすい和の器をもう少し欲しいと思っているのですが、未だこれぞとものを見つけられずにいます」
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イタリアの家具ブランド『ヘッセンチア コルネリオ・カッペリーニ』のフロアスタンドランプは、目黒のギャラリー『リヒト』でオーダーしたもの。「フロアスタンドはすでにひとつ持っていたのですが、愛嬌があるのにカジュアルではないところ、モダンさ・品・フェミニンさの絶妙なバランスにグっときて、我が家に迎えることになりました。デザイナーであるマルセルワンダースは、名の通り、奇抜でワンダーな(?)作品も多いのですが、このランプは、無駄のない洗練されたデザインの中にさりげないユニークさを感じます。巨大なキノコのように見えますが、ビッグシャドウという作品名だそうです」
住まいと暮らし003_恩田さん
恩田さん愛用のスキンケアは、『ヨンカ』のローションと、イタリアのトスカーナに創立された世界最古の修道院『カマルドリ』で31種のハーブを配合してつくられるオイル。「乾燥肌なんですが、べたつかないローションが好きで、中でもヨンカはサラッとしているのに保湿効果が高く、しかもスプレー式なので、お手入れしやすいんです。他のアイテムは、つい可愛いパッケージにつられて浮気するときもあるんですが、このローションだけは切らさないように、ストックしています。オイルは、ハッカやローズマリーも配合されているので、スースーした爽やかな使い心地です」
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寝室のファブリックは白のコットン地で統一。ピローケース、カバー(布団)、シーツは、1845年に北フランス・リールで創業した老舗のハウスリネンブランド『イヴ・ドローム』のもの。「冴えなかった寝室をどうにかしたいと、作年末にデパートで購入しました。すっきりしたドットのカットレースの縁や、決してゴージャスではない、清潔感のある上質さが好きです。値の張る買い物でしたが、これに替えてから毎朝ベッドをきちんと整えるようになりましたし、時間の経過とともに生まれる風合いも楽しみながら長く使っていきたいと思っています。エルメスのカシミアの子馬ちゃんは、親友からのバースデープレゼント。水色というにふさわしい、ベビーブルーも大好きな色です」
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イギリスの海沿いの街、マーゲイト発のライフスタイルブランド『HAECKELS(ヘッケルズ)』のフレグランスキャンドル「GPS 19’ 51”E」。商品名のGPSコードは、原料となる天然素材の採取された位置を示しているのだとか。「優しく穏やかでいながら、スッキリさせてくれる香りです。キャンドルが浮き上がっているように見える、美しいガラスの佇まいもお気に入りです」
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繊細さとクールさを合わせもつガラスのものが大好きだという恩田さん。左奥のブルーグレーのガラスボトルと、右手前のシャーレのような口の広いガラス容器は、ミラノに拠点を置く老舗ガラスメーカー『イッケンドルフ』のもの。ガラスボトルは、ニュアンスのある色合い、繊細さとモダンのバランスが、取りわけお気に入りの作品だという。グラスはドイツ出身のクリスチャン・メッツナーのデザイン。「メッツナーは、オカイユで扱うレザー小物のデザインもしています。山のように底面が出っ張っていて、カジュアル過ぎずエレガント過ぎずの雰囲気が大好きです」
住まいと暮らし003_恩田さん
『イソップ』のレスレクションハンドバームは、「香りがとっても好み」ということで、ハンドウォッシュも同じ香りで統一。最近新たに買ったのは、150年の歴史を持つというイタリアの『アッカカッパ』。「パッケージがきれいで、前から気になっていたのですが、先月いろんなアイテムが勢ぞろいして販売されているのを見かけて、歯磨き粉と、ハンドソープとシャンプーと石鹸を揃えました。ソープ系はホワイトモスという香りです」
住まいと暮らし003_恩田さん
「エレガント過ぎる花は苦手、でも清楚すぎる花もこの部屋には合わない気がして……」という恩田さん。結果、さりげない個性があってモダンな花を、オカイユのご近所でもあるフラワー&プランツショップ『FUGA(フウガ)』で選ぶことが多いそう。「雑誌の特集のように、数種類のお花を取り混ぜて飾ることに憧れているのですが、やっぱり実際飾るとなると一種類になることが多くて。もっと素敵に、自由に活けられるようになりたいですね」
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喉が弱いため、寝室には『cado』の加湿器が欠かせないという恩田さん。「コンパクトなサイズ感ですが、これぞミストといった感じで、広範囲にスチームが行き届いて、部屋の空気が断然変わります。デザインもかわいらしいですよね。”白い丸型”のものに弱いのかもしれません」
住まいと暮らし003_恩田さん
マンション共有通路の頭上には、丸い天窓が付いている。「快晴のこの日は、青一色ですね。白い雲も少し見えると、また違った眺めになります。全6世帯の小さなマンションで、部屋も広くはないですが、天窓やこの下にある螺旋階段、庭の木などもとても心地良くて、ここには長く住みたいなぁと思っています」
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登喜枝さんがバトンを渡すのは、独自のタッチが印象的なイラストレーター「mitsou」さんこと、奥村麻利子さん。旦那さまはアパレルブランド『chiclin』のディレクターでもあります。どうぞお楽しみに!(次回は8月末日頃公開予定)


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