【住まいと暮らしvol.52】仕事と暮らしも混じり合うシームレスな生活ーHAGISO 顧彬彬さん

表玄関には、隣にある児童遊園との連続感を意識した「ご自由にお座りください」というベンチが。「散歩途中のおばあちゃんが休んだり、小学生が放課後ベンチに座っておやつを食べたりするのも日常の風景のひとつです」

1階の入口は土間に。「町とつながりをもった、誰でも気軽に立ち寄れるような家にしたくて、玄関の扉は勝手口ドアを採用。あえて玄関らしくない佇まいにしました。床には上海タイルとよばれる中国のタイルを使い、中と外を連続させています」

家の土間と玄関先を使って、ご近所の人と一緒に不定期で開催している軒先マーケット。「フリーコーヒー、陶芸家のお隣さんの器の販売、紙芝居屋さん、ミニコンサートや子どもたちが考えたお店屋さんをやったりします」

リビングの一角はダイニングテーブルとベンチだけの構成に。「子どもがいると、いつもおもちゃで溢れかえっているのですが、どんなに部屋が荒れていてもささっと片付ければきれいになる一角があることが、私にとっての救いです(笑)」

家の中にテレビは置かず、リビングのソファの上には子どもたちの描いた絵を飾って。「すぐに入れ替えができるように、マスキンテープで止めることが多いです。映画など観るときは、セットしてあるスクリーンを下ろしてプロジェクターで投影することも」

リビングの片隅にはサンルームが。「朝起きて一番の光がとても心地よく、目を覚ましてくれます。ハンモックの下には、真鶴町で活動されている向井日香さんの作るラグを敷いています」

旅先でひろった思い出も家の片隅に散りばめて。「この丸い石は、去年家族で五島列島にいった際に拾ったもの。素潜りに目覚めた夏、誰もいないプライベートビーチのような海岸でひろいました。この石を見る度に、透き通った青い海を思い出します」

最近の朝の楽しみは、長谷園の土鍋で炊くふっくらごはん。「小麦粉の摂取を控えることをゆるく意識して、まずは平日の朝ごはんをお米中心にすることに。始めて2週間ほどで肌荒れがすっと消えるようになりました。でも本当はパンも大好きなので、週末だけは解禁。家族でパンケーキを焼いたり、パン屋さんで好きなだけパンを買って食べるのも週末の楽しみのひとつです」

家の冷凍庫には、お母さまが作るワンタンや皮から手作りの餃子が常にストックされているそう。「時間がないときもささっと茹でてお腹を満たせる完全食。子どもたちも大好きです。夫が出張の度に買ってくる民芸の器に盛っていただきます」

半年前くらいから、コンポストを使い始めたそう。「数年前にも密閉型のものを使っていたのですが、上手く分解できず途中で断念。これはデザイン性もあり、臭いや虫の発生も少なく、とてもいいです。子どもがまだ小さいのでどうしても食べ残しやゴミが多く出てしまうのですが、毎日出すゴミが少しでも減るのは環境にいいだけでなく、自分のストレスも軽減してくれている気がします。堆肥に変わったものは、庭の草木にまいています」

好きなアーティストの音楽はCDを買うようにしているそう。「装丁や中に入っている歌詞カードの世界観は、CDにしかない魅力。部屋の中に飾ったりして、音楽を聴いていないときでも、その世界観を楽しんでいます」

HAGISOのギャラリーで展示した作家の作品も、家に飾って。「これは最近展示していた彫刻家、髙山瑞さんの作品。直射日光の当たらない階段の窓辺に飾っています。「草」と彫ってあるのですが、時間によって影の落ち方が変わるので人の横顔にみえたりとさまざまな表情をみせてくれるのが魅力です」

気に入った服やアクセサリーは色違いで買うという彬彬さん。「これは大好きな『AIR ROOM PRODUCTS』のシャツと『SOK』のピアス。このシャツとピアスの組み合わせを身につけると、一番自分らしさを取り戻したような気がするんです」

2羽の手乗り文鳥。「HAGISOを始めたころ、最初はお店で飼っていましたが、先代の文鳥が寿命で亡くなり、一年前ほど前に家に新しく迎え入れたのが、「アメ」と「ハル」。つがいなのですが、仲が悪くいつも喧嘩ばかりしています(笑)」

谷中では軒先での「ご自由にどうぞ」がとても頻繁。「写真に写っているのはどれもそこから頂いたもの。私も使わなくなったものは気軽に「ご自由にどうぞ」をするように心がけています。貰い手は見えないですが、町の中でものが循環しているのが心地よく感じます」

2013年から、カフェやギャラリー、サロンや宿泊施設などの機能が一緒になった最小文化複合施設HAGISOをスタート。「HAGISOから自宅までは徒歩数分。日常的な活動範囲も半径500m以内と、仕事も生活も常にシームレスな暮らしをしています」

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の日坂春奈さんのバトンを受けてご登場いただくのは、「HA ...[続きを読む]

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