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それは料理の始まり〈ツヴィリング〉の包丁で体感記憶する“勝手”のデザイン【ku:nel DESIGN LAB Vol.2】
身近な日用品のアプローチデザインを語らう〈クウネル・デザインラボ〉連載第2回目。今回フォーカスするアイテムは、キッチンメーカー〈ツヴィリング〉の包丁。ラボの所長を務めるクリエイティブディレクターの藤原奈津子さんが日本法人のオフィスを訪ね、アンドリュー・ハンキンソン社長にお話を伺います。
〈ku:nel DESIGN LAB〉とは?
CONCEPT
「日々と向き合い、自分なりに求めるモノを、心踊りながら選び使うことで、そのセンスをモノにできる」。身近な日用品の機能美の中にある、愛用を生むアプローチデザインを知り、語り合う『サロン・ド・テ』のような知的交流の場を目指します。ラボの所長は、栄養士兼クリエイティブディレクターとして活動する藤原奈津子さん。毎回さまざまなゲストを迎えて、デザイン視点でセッションします。
6つのアプローチによるブランドデザイン
藤原さん:〈ツヴィリング〉は、1731年にドイツで誕生したブランドですが、日本法人〈ツヴィリング・J.A.・ヘンケルス〉としては、2023年に創立50周年を迎えた記念の年。岐阜県関市の工場から、日本らしいアイデンティティを加えたグローバルモデルを世界に逆輩出をしていますよね。改めてブランドマインドを教えていただけますか?
アンドリュー社長:〈ツヴィリング〉が大事にしていることは全部で6つあります。6つの順番も大事なんです。まず1つ目は「品質」です。続く2つ目は「伝統」。我が社は創業から292年を迎えて、全世界でも歴史のあるキッチンウェアのブランドです。品質が良くなければ、長続きしないですよね。
藤原さん:説得力がありますね!
アンドリュー社長:それから3つ目は「イノベーション(革新)」。292年前に作ったハサミや包丁は、ずっと同じ状態では販売できませんよね。鋼材や作り方を変えたり、新技術を採用したり、品質を保ったまま常に進化を続けてきました。それに加えて、商品の拡大にも力を入れています。〈ツヴィリング〉といえば包丁やナイフのイメージがあるかと思いますが、〈ストウブ〉や〈バッラリーニ〉など複数のブランドを取り扱ったり、最近は家電も手がけたりしました。
藤原さん:包丁は、料理の始まりであり、基本道具なので「キッチンツールの王様」と言われますよね。包丁のトップブランドである〈ツヴィリング〉だからこその“お勝手道具セレクト”とその拡大に注目しています。
アンドリュー社長:そして4つ目は「精度」。包丁の切れ味が良いことは、当然のことです。〈ツヴィリング〉では、ハンドルの重さや握り心地まで、包丁全体のバランスも大切にしています。5つ目は「顧客満足度」。私たちは日本全国に40店舗を構えていて、サービスではなく、ホスピタリティを重視しています。私たちのスタッフは、商品の知識はもちろん、他社のアイテムとの違いやレシピの提案まで、自信を持ってストーリーテリングができます。
藤原さん:商品自体のスペックは誰でも語れると思いますが、〈ツヴィリング〉の世界観やマインドを伝えられるのは、自社のスタッフだけことですよね。料理の得意不得意に関わらず、包丁選びのコツは、目線から肘、手の平、包丁の切先までを“1本”と捉えたアプローチデザインだと思います。真の使い勝手を得るためにも、店頭でジャストフィットな1本を選びたいですよね。実際に私も試し切りさせてもらって、一番手に馴染むものを購入しました。
アンドリュー社長:最後の6つ目は「サステイナビリティ」。とても重要に思っていますが、わざと最後にしています。パッケージからプラスチック削減を進めていたり、製造のプロセスもサステイナブルに。そして店舗では、古い包丁のリサイクルプログラムがあります。古い包丁を店頭で引き取り、代わりにクーポン券をプレゼントしています。
藤原さん:包丁って一体どうやって捨てたらいいのか、わからない方が多いと思います。今持っている包丁とお別れするところから、面倒見てくれるなんて素晴らしいですね。そして6つの順番で語る大切さがよくわかりました。
最初の切れ味=ファーストタッチの感動を
藤原さん:私は〈ツヴィリング〉の包丁を2本愛用しています。1本目に「ツインセルマックス プレップナイフ」の使い心地に大満足して、2本目に「アーク コンパクトシェフ」を買いました。最初に使ったとき、体全体で感じた“あの切れ味”にとにかく感動して……。料理の始まりに使う道具だからこそ、ファーストタッチが良ければ、日々の料理工程が格段にスムーズになります。料理人生を底上げしてくれる、そんな力がある道具ですよね。
アンドリュー社長:使っていただき、ありがとうございます!初めて包丁を使うとき、その初めては一生のうち一度しかやってきません。包丁とのファーストタッチはとても大切です。
藤原さん:やっぱり、最初の切れ味に自信があるんですね。
アンドリュー社長:「今までと違う!」という喜び、良い第一印象がとにかく大事です。これは品質と精度ですね。また、包丁を研ぐことや手入れのことを考えると面倒に感じてしまう方もいるかもしれませんが、〈ツヴィリング〉の包丁は非常に硬い金属鋼材を使っているので、しょっちゅう研がなくても大丈夫です。
藤原さん:そうなんですよね。切れ味、握り心地、使い勝手の良さ、全体の重さ。とにかく手にフィットして、使うたびに感動しています。特に背中のラインが入ったデザインがかっこよくてお気に入りです。
三世代包丁としての、エモーショナルな世界観
藤原さん:私は手が小さいので、〈ツヴィリング〉の包丁に変えてから、劇的に料理が上手くなった気がします(笑)。特に私の親世代は、包丁=三徳包丁のイメージが強かったりして、「道具はこうじゃなきゃいけない」と思っている方が多いのかも。今日アンドリューさんの話を聞いて、キッチンのリフォームを検討する前に、ぜひ包丁の見直しをして欲しいなと思いました。
アンドリュー社長:私の家では料理担当は僕です。多くの時間を過ごす場所だから、かっこよく、気持ち良い環境にしたいですよね。
藤原さん:はい。キッチンが「お勝手」と呼ばれることは、偶然ではないと思うんです。キッチンツールは、まさに手に勝るテクニックをサポートしてくれる道具。もっと勝手気ままに選んでいいんです!
アンドリュー社長:「なぜ包丁にこだわるべきか?」と問いに対して、使い勝手や機能性など理由はありますが、最後は“キッチンの喜びのため”だと思います。〈ツヴィリング〉の包丁がキッチンのデザインになる。例えば友達が家に遊びに来たとき、キッチンで双子のマークを見かけたら「お、ツヴィリングの包丁使ってるね!」とか「そのマーク知ってるよ!昔おじいちゃんが新婚旅行でドイツに行って買ってきた包丁に……」そんな会話ができたら、なんだか嬉しいですよね。
藤原さん:本体のデザインだけではなく、キッチンで包丁を使っている様子を見られるところまでを考えているんですね。
アンドリュー社長:子供の頃、キッチンで大人が料理をしている記憶があるでしょう?今もその料理を作れば、そのときの思い出がきっと蘇る。おいしい記憶だったり、大切な人たちと食卓を囲んでいるシーンだったり。一生ものと言わず、ぜひ三世代で受け継いで使い続けて欲しいですね。家族の喜びのそばに〈ツヴィリング〉の包丁があることを願っています。
藤原さん:〈ツヴィリング〉の包丁を使うたびに高揚しているので、今日はエモーショナルな世界観を知ることができて嬉しかったです。もう1本欲しくなっちゃいました!
アンドリュー社長:ありがとうございました。また会いましょう!
・取材を終えて・
包丁のキャッチコピーとして「長く使える」「日常に馴染む」「メンテナンスしやすい」そういうことが多いと思います。〈ツヴィリング〉にとっては、それらは当たり前のこと。最初の切れ味に圧倒的な自信を持っている!ということが新しい発見でした。歴史があり、品質が良いブランドはたくさんあります。ですが、ものを使う人とブランドが共鳴し合って初めて、素晴らしい商品を実感できると思います。私たちは毎日何気なく食材を切っていますが、料理において全ての始まりは包丁であり、どんな調理道具よりも多くの人が使うものです。グリップ、切先、デザイン性。何を重視しても〈ツヴィリング〉の包丁なら、きっと応えてくれるはずです。(藤原さん)
アンドリュー・ハンキンソン
ツヴィリング J.A. ヘンケルスジャパン代表取締役。1991年にアメリカから来日し、学生時代を京都で過ごす。バイヤーや媒体社、ドイツ系メーカーなどに勤めた後、2011年よりツヴィリング J.A.ヘンケルス ジャパンに勤務。現在は代表に就任。日常より料理を嗜み、日本の文化を愛する。
藤原奈津子/ふじわらなつこ
株式会社OFFICE COMATCH代表取締役。ものづくりの先をデザインする独自のブランドデザイン「アプローチデザイン思考」を軸に、 広告デザインでは各種広告賞を受賞。担当ブランドは続々とヒット。栄養士/クリエイティブディレクター/コピーライター/イラストレーターなど、複数のデザイン専門職種を越えてシームレスに活躍し続ける“マルチポテンシャライト“として注目される。また、キッチンツールの目利きセンスを活かし、雑誌やTV等にも出演中。
写真/中村優子、編集/草地麻巳、文/阿部里歩