いつの時代も、憧れの観光地パリ。一年を通して、世界中から観光客が押し寄せ、さまざまな言語が飛び交う都市です。そんなパリも、今年は人影もまばら。なかなか見ることのできない、ガランとしたパリを〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの松永さんにレポートしていただきます。
世界屈指の観光地パリ。一年中、世界中から訪れるたくさんの人々で賑わうのですが、今年は様子が違っています。
ロックダウンが緩和された5月半ば、お店のシャッターが開き、放置されていた公園が手入れされ、止まっていた街は動き出しました。家庭や仕事、学校など、パリに暮らす人々が手探りしながら日常を取り戻していく一方、観光客の不在は街の景色を変えています。
初夏の頃、誰も来ないランドマークは悲しいほどひっそり。いつもなら記念撮影で順番待ちするスポットもガラガラ。人気のカフェやバーからは観光客の姿が消え、お店の人も「日本からのお客さんが来なくて寂しいよ」と嘆くほど。どこへ行っても地元の人ばかりで、私にとっては新鮮な光景でした。
7月以降、夏のバカンスシーズンになると、フランス国内や近隣諸国から来る人は増えましたが、「あ、観光客だ」とその存在が目に留まるほど、まだまだ数は少ない印象。世界の情勢が変わるまで、溢れるほどあった旅行者の姿は、当たり前のように街に溶け込んで、パリの景色を作っていたんだなあと実感しました。
それでも少しずつ人の流れが出てきたことで、しゅんと肩を落としていた街並みが、しゃきっと背筋を伸ばし始めた気がします。やはりこの街は、楽しそうに歩く人々の姿があってこそ。みんなに愛され、褒められ、憧れられて、パリは輝き続けているんですね。