あの人の本棚を見たい!と思う人たちの自宅やアトリエを取材しました。みなさん本が大好きで、それぞれにスタイルが確固としていて壮観!本と向き合う豊かさを噛みしめられます。
中嶋朋子/なかじまともこ
俳優
ドラマ『北の国から』に子役から22年間出演し人気に。映画、舞台、ラジオドラマやナレーションで活躍を続ける。自らのプロデュースによる朗読会も不定期で開催。著書に『めざめの森をめぐる言葉』(講談社)がある。
好きな本にまみれ時を送る理想の場所
雑木林の中の山荘風アトリエに作られた壁一面の本棚。本の世界に「まみれていたい」中嶋朋子さんは、誂えた棚に趣味と気分の赴くまま本をゆったり並べ、小物をあしらいます。「理想の本棚です。日がな眺めては本を抜いて好きな場所に腰かけ読んだり、梯子をよじ登ったまま、本の途中から脈絡なく読み始めたり。また朗読台本の一節を拾うとか、インスピレーションを受けて文章を書くこともあります」
本棚によじ登る楽しさに味をしめて
本の本拠地を自宅からアトリエに変えたことでも変化があったそう。「小さい本棚をベッド脇に置いていた時は、自分と静かに向き合うというか自分自身をホールドする存在だった気がしますが、大きな本棚は遊び心も注ぎ込めフレキシブルに中身も変えられます。心や頭の中に風が通いイマジネーションが広がるよう」
想像力を豊かに一角ずつを遊びまわる
棚には幼い頃『星の王子さま』に出合ってから「目には見えない肝心なことを追いかけてきた」軌跡も、「旅先からトランクに詰めて連れ帰った」収穫も今日面白いと思った一冊も収まって。
「いろいろな人格になる仕事ですから役に持っていかれないよう今の自分を確認するため、大切な存在です」本棚は広い世界に漕ぎ出す入口とも話す中嶋さん自身の本棚物語も魅力的。
『クウネル』2023年1月号掲載
写真/徳永 彩、取材・文 /原 千香子