得意料理は?と問われたら、餃子!と即答。あらゆるおいしいものに通じているであろう引田かおりさんが大好物と宣言するのは意外にも、飾らない日常の料理でした。栄養バランス満点で、包む楽しみ、食べる幸せに満ちています。引田かおりさんの得意料理。餃子にはハッピーが詰まっています!
「最後の晩餐に食べたいものは何?って聞かれたら、絶対に餃子だな~」と引田さん。たとえば、自分の誕生日に家族が集まったとき「カーリン(引田さんの愛称)何食べたい?」って聞かれたら、迷わず餃子と答えます。そこに揺るぎはないのです。
福岡の実家では、商売をやっていて、スタッフなどいつもたくさんの人が家にいました。お店が終わってから、近所の中華屋さんに食べに行ったり、大勢で台所に並んで餃子を包んで焼いて、ワイワイと食べたり。餃子の思い出は、そういった活気のある風景とつながっていると振り返ります。
「各家庭それぞれにレシピがあり、うちは肉多めなのよとか、やっぱりニンニクをきかせないととか、〝うちの味〟がさまざまなのも面白いですよね」
引田家の味は?というと、キャベツたっぷり、しょうがのしぼり汁をきかせたあっさり味です。「具材の中身や配合をちょっとずつ変えながら、いろいろな味を試してきたけれど、いまはこのあっさり味に落ち着きました」
お取り寄せ上手と評判の引田さん、餃子もいろいろと取り寄せ。自作の餃子とともに食卓に並べ、食べ比べを楽しむことも。この日は、夫妻に加え、長男の嫁・あずみさんと、孫のつむぎちゃんが「餃子会」のメンバーに加わりました。みんなで台所に立ちせっせと包む様はとても幸せな光景です。
「みんなを巻き込んで包む、焼くができるのが餃子のまたいいところ。夫は包むのが上手だし、息子は焼きの名人なんですよ。野菜だけでも、お肉だけでもなく、味も栄養のバランスもばっちり。つけダレで味を変えながら楽しめるなど、餃子って本当にいい。ハッピーな食べ物だと思いませんか?」
引田かおり/ひきたかおり
吉祥寺にある「ギャラリーフェブ」と、パン店「ダンディゾン」を夫婦で営む。夫婦のありかたなどについて綴った夫との共著『しあわせのつくり方』(KADOKAWA)なども好評。http://www.hikita-feve.com/
引田あずみ/ひきたあずみ
料理サイト「FOR LIFE KITCHEN」を夫と運営。人気料理家に教わったレシピを公開中。
サイトをまとめた本『FOR LIFE KITCHENわたしだけの料理教室』(エイ出版社)が上梓。http://forlife-kitchen.com/
『ku:nel』2020年7月号掲載
写真 濱津和貴 / 取材・文 鈴木麻子