パリ在住5年目のメンバー・松永加奈さんが、時々、無性に恋しくなる日本のフードのひとつが、ふわふわスポンジのショートケーキ。フランスはケーキの本場ですが、意外にもショートケーキは無いのだそうです。
言わずと知れた”スイーツパラダイス”のフランス。名だたる高級店から普段使いのお店まで、パリにもたくさんのパティスリーがあります。ショーケースに並ぶケーキはどれもおいしそうで、あれこれと目移りしてしまいますが… … あれ?何かがないような?
そう、日本ではおなじみのショートケーキがないのです。
フランスのケーキは、スポンジやタルト、パイ生地がベース。その上に、しっかりとしたクリーム(カスタードクリーム+バターなど)やフルーツ、トッピングなどが重なり、1つのケーキで数種類の食感があることが基本です。もちろん甘さもはっきりしていて、小さなピースでも食べ応え十分。なので、日本のショートケーキのような「ふわふわのスポンジを生クリームで飾ったもの」「軽い口当たりのケーキ」は、もともと存在しないのだそう。
しかし、ここ数年は日本人パティシエの活躍で、パリでもショートケーキやロールケーキの認知度が高まって来ています。先日、フランス人が集まるパーティに、日本人パティシエールのロールケーキを差し入れたところ、初めは「食後にこんなにシャンティ(生クリーム)たっぷりで食べ切れるかな」と戸惑っていましたが、全員ぺろりと完食。厚めのスポンジや、甘さとボリュームのバランスも「おいしい!」「これはアリ」と好評で、スイーツ文化の変化と広がりを実感しました。
季節の味や伝統を大切にしているフランス菓子は私も大好きですが、やはり「日本の洋菓子」はときどき無性に食べたくなるもの。海を超えて伝わるそれぞれの味が交流して、また新しいおいしさを作り出していくといいなあ…と、今日もケーキを食べながら思っています。