シェーカースタイルをお手本にした、ミニマムな暮らしーtsuzuru 城由起子さん 【住まいと暮らしvol.88】

城由起子さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の鎌田奈穂さんのバトンを受けてご登場いただくのは、奈良でお菓子とコーヒーの店「tsuzuru」を営む城由起子さん。

城さんの暮らしのルール

1.健やかに生活するために、できるだけバランスの良い食生活を楽しむ
2. 収納の容量以上のものは、持たないようにする
3. 毎日使う道具こそ美しく

城由起子さん プロフィール

今の住まいには10年くらいているという城さん。

「アメリカのシェーカービレッジを巡り、削ぎ落とされているけれど豊かさがあり、永遠性も兼ね備えた空間に感動しました。その後に家づくりを始め、シェーカースタイルの静かな佇まいがあるような空間をつくり、家具も一貫性のあるものにしました。心落ち着く空間が気に入っています。自宅部分に戻り、ロッキングチェアに腰かけて、映画を観たり、本を読んだり、ゆっくり過ごす時間が大切です」

城由起子さん ロッキングチェア
休みの日は、シェーカーのロッキングチェアでゆらゆら過ごすそう。「くつろぎの時間。本を読んでいても、いつの間にか眠っていることもあります」

収納できるもの以上のものは、持たないように心がけているのだとか。

「片付けは得意ではなくものが多いと掃除が大変だとわかっているので、それぞれのものに手入れが行き届くように、持っているものを大切にできる範囲内に収めたいと思っています。もの選びは、70代になっても使っていたいものをイメージ。ミニマリストではないですが、ものは増やさなくても豊かな空間で暮らしていきたいです」

城由起子さん キッチン

キッチン。「春日の森が見えるように窓を配置したので、料理をするときも気持ちよく時間が過ぎていきます」

食事はとても大切だという城さん。

「仕事であるお菓子を作るアイデアの源になっています。簡単なものでも、1日3食は欠かさず食べるようにしています」

閉店後には、自作のクッキーでコーヒータイム。「鎌田奈穂さんのキャンドルスタンドに、小さな和蝋燭を灯します。つい話し込んでゆっくりしてしまうので、キャンドルが消えるまでの時間を休憩時間と決めています」

城さんが製菓を担当する焼菓子と珈琲のお店 『tsuzuru』は、店のロゴやパッケージを染色家の柚木沙弥郎さんがデザイン。カフェスペースもあります。

「お菓子であっても甘いだけではなく、暮らしのなかで気持ちが癒やされ、体が喜ぶようなお菓子を作りたいと思っています。お店はただお菓子を楽しむだけのばしょではなく、時間を空間を楽しむ場所であってほしいですね。

今後は、庭を手入れして過ごす時間を増やし、家の中と外が繋がるように暮らしていきたいです」

住まいと暮らし 朝食

朝食のテーブル。「昼と夜は仕事の合間にさっと食べることも多いのですが、朝食はゆっくり時間をかけて。1日のなかで朝だけはパン食。自分で焼いた全粒粉のパンとコーヒーを飲む、一番好きな時間です。その後の散歩までが朝の日課です」

城由起子さん お茶の時間

夕食後のお茶の時間。抹茶で締めくくることが多いそう。「道具は趣味人だった祖母が使っていたもの。茶杓は竹細工も趣味だった祖母のお手製。それらをアメリカで買ったシェーカーボックスに入れて収納しています。『中川誠盛堂茶舗』のお抹茶は、おいしさと胃に負担がなく飲めるところが気に入っています」

城由起子さん スキンケア

スキンケアの時間が大切。「鏡は使わず、手の感覚と呼吸で自分と向き合います。その時間は自分だけの心地よいひととき。山本美文さんのキャリアに一式入れています」

城由起子さん スキンケア

嗅覚は、お菓子を作る上で重要な仕事道具みたいなものだという城さん。「とても大切に思っているので、日常で香りに満たされ過ぎないように、洗剤などは無香料のものを選んでいます」

城由起子さん 眠る前の習慣

眠りの前の習慣。「良質な眠りにつくために、『ソルーナ』のエネルギスプレーをパジャマの胸元へひと吹き。絲室 磯部祥子さんのアイピローをあたためてから目の上へ」

城由起子さん 竹かご

『オントルポ』大鹿裕之さんによる、シェーカースタイルの竹籠を洗濯カゴに。「わが家には収納が少ないので、道具類は外に出ていても美しいものを選びたいと思っています」

城由起子さん

お店と自宅は同じテイストに。「店と住居で家具を入れ替えて、気分を変えることも。チェストはシェーカースタイルの家具を長年作られている『宇納家具工房』のものです」

城由起子さん 小麦畑の写真

森田幸子さんの小麦畑の写真。「作品集で見た小麦の写真がとても印象的で、いつかオリジナルの作品を拝見したいと願い、その後お迎えできた一枚です」

城由起子さん 小麦の作品

好きなモチーフは小麦。ドイツのアーティスト『Lutzenberger+Lutzenberger』のブロンズの小麦の作品がお気に入りだそう。「お菓子に使う小麦を栽培されている農家さんの畑を訪れたとき、麦畑の風景にとても感動しました。自分の育った所には麦畑はなかったけれど、不思議と懐かし感じがしてあたたかな気持ちになります」

PROFILE

城由起子/じょう・ゆきこ

東京都生まれ。奈良県の春日原始林のそばで、2016年より焼菓子と珈琲の店『tsuzuru』を営む。甘さの前に、小麦など素材の味を感じられるような滋味深いお菓子を作っている。
Instagram@tsuzuru

I

城さんがバトンを渡すのは、「絲室」の磯部祥子さん。「インドのカディコットンで生み出す布作品。白い世界観の奥に、強いエネルギーを持った作品を生み出す彼女。控えめな人柄からは想像できない強い意志を持っているのであろうと、揺るがない姿勢をリスペクトしています」と城さん。磯部さんの暮らしは、11月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

取材・文/赤木真弓

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