人生100年時代。これからの日々をより豊かに楽しむために、健康であることは第一条件です。 特に体調や気持ちが揺らぎやすくなる60代は、体への意識や健康法を見直すタイミング。 健やかに年齢を重ねるための方法を、 頼れる医師に教えていただきました。

川邉サチコさん（以下、川邉）：40代の頃に友達の紹介で通い始めて以来、先生とは40年以上のお付き合い。そのおかげか私は更年期らしい症状はほとんどありませんでした。学校では小学6年生まで性教育をしないと知り、小学生の娘を連れて行き、女性の体について教えていただいたこともありました。

美木ちがやさん（以下、美木）：先生は私の恩人。20代の頃に手術をしていただいたことがあるんです。症状が重く、6時間にわたる大手術だったのですが、先生が「もう大丈夫よ」とおっしゃってくださって。その後2人の子供の出産でもお世話になりました。心から信頼し、長いお付き合いをさせていただいています。

川邉：娘の出産の時は誰よりも先生が喜んでくださいましたよね。今は1ヶ 月に1度を目安にホルモン補充のために先生の元に通っています。

新野博子医師（以下、新野）：約50年前にアメリカに渡った時、ホルモン補充療法が一般的に行われていて、年齢を 重ねた女性たちが生き生きと輝いていました。でも帰国後その治療法を広め ようとしたら当時は四面楚歌。それで自分のクリニックを開業したんです。

川邉：日本は女性の身体についての知識も遅れていますよね。

新野：昔の日本は「生理が終わったら女性は終わり」という考えでしたが、 その頃は50歳前後の閉経から寿命までの期間が短かかったの。

美木：今は人生100年時代。閉経からその先が長いですよね。

新野：更年期が終わるとホットフラッシュなどの症状は落ち着くかもしれませんが、生理がなくなり女性ホルモンが分泌されなくなると、骨粗鬆症やメンタルの落ち込みなど目に見えない症状が出てきます。

川邉：通院を少しさぼっていたからか、私も骨粗鬆症の症状が出てきました。

新野：骨粗鬆症で整形外科に行ってお薬をもらってもなかなか治りません。なぜなら骨の代謝には女性ホルモンが必要なの。自律神経失調症と言われて精神科に通っている人がホルモン補充でよくなることもあるんです。女性には「調子が悪くなったらまずは婦人科へ」という意識を持ってほしい。

川邉 ：「婦人なのになぜ婦人科に来ないのかしら？」という先生の名言がありますが、本当にそうだと思います。内科や整形外科のかかりつけ医はいるのに、婦人科のかかりつけ医がいる方って少ないですよね。信頼できるドクターを探すことも大切だと思います。

美木：私は先生に出会ってから、女性が婦人科に行くのは人生のマナーなんじゃないかなと思うようになりました。若い頃から定期的に婦人科に通っていれば病気も防げたかもしれないと思い、息子のガールフレンドにも「何かあったら婦人科へ」と助言しています。

新野：私の使命は、閉経後から寿命を迎えるまで女性を元気に輝かせること。閉経による急激な老化をゆるやかにするためには、体調と年齢に応じたホルモン補充が効果的なので、婦人科を上手に活用してください。60代ならまだまだ間に合いますよ。