——鳩岡さんがお好きなロードムービーは？

鳩岡：ムービーと言いつつ、好きな作品はTVシリーズが多いんですよね……。旅をしている仲間や旅の途中で出会う人と心を通わせる、そんな瞬間が好きなんです。

妹尾：『銀河鉄道999』とかは？

鳩岡：確かに！名作ですね。あとは『楽園追放』とかも大好きです。『すずめの戸締まり』もロードムービーですよね。少しニュアンスが違いますが、『もののけ姫』も冒頭は東の果てから西へ向かってアシタカが旅をしていくからロードムービーに入れたい（笑）。それと、いわゆるロードムービーではないけれど、『ジョゼと虎と魚たち』もお薦めです。

妹尾：実写版映画のイメージが強い。

鳩岡：主人公の女の子は車いす生活でなかなか自由に外に出られないんです。それがある男の子との出会いで、出かけるようになり、少しずついろんな景色を手に入れていくというストーリー。世界が広がっていく様子の表現が素晴らしく、それは実写とは違う魅力がありますね。タムラコータロー監督は、細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』の助監督なんです。

妹尾：『ジョゼと～』みたいな恋愛をアニメで描くのは、多分最近のことですよね。

渡辺：実写でできないことをすることがアニメの醍醐味でしたもんね。SFとか、ファンタジーとか。それが、日常系に移行した流れはある。

鳩岡：キーワードは「関係値」だと私は思っています。恋愛だけじゃなくて、人の心との距離感。親子の関係性もそう。細田守監督の『バケモノの子』とか。

渡辺：「日常もの」ね。『フラ・フラダンス』とか。

妹尾：『THE FIRST SLAM DUNK』とか、『ぼくらの7日間戦争』とかね。

——お仕事柄、たくさんの作品をご覧になっているかと思いますが、新しい作品だと何がありますか？

鳩岡：現在（取材時、2023年10月現在）公開中の『北極百貨店のコンシェルジュさん』もいいですよ～。今をときめくアニメーターが集結して製作を。作画的にすごく面白い。コンシェルジュとして働く女性の話というのが、アニメに慣れない層もすっと入れる設定です。もうひとつ気になる新作は、『屋根裏のラジャー』。

——こちらは12月15日公開ですね。

渡辺：スタジオポノックが6年ぶりに公開する作品として話題ですよね。

鳩岡：そうです。スタジオポノックは、スタジオジブリ出身のプロデューサーが立ち上げたスタジオで、監督の百瀬義行さんも、ジブリでたくさんの名作に関わられた方です。

——アニメーションスタジオや監督で追いかけるというのも、アニメの見方として面白いですね。

妹尾：私はまさにそのタイプです。

渡辺：いまは監督も脚本家も女性が活躍していて、「女性クリエーターもの」をご覧になるのもお薦めです。

鳩岡：先ほど登場した『まぼろし工場』の岡田麿里監督とか。

渡辺：クウネル世代の方が共感できる女性クリエーターにぜひ注目していただきたいですね。いしづかあつこさんとか、『映画 聲の形』の山田尚子さんとか。今度『きみの色』という新作の公開を控えていますよ。

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