アルヴァ・アアルトの家具、『マリメッコ』のテキスタイル、カイ・フランクのガラス工芸など、長く愛され続けている北欧・フィンランドのデザイン。そのどれもが、美しい大自然とともに生きる暮らしの中で生まれたデザインです。そんなフィンランドデザインの歩みを見ることができる、『ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル』の様子をご紹介します。
日本でも人気の高い、フィンランドのデザインプロダクト。そのデザインはどのような背景で生まれたのか、というところから始まる本展。1917年にロシアから独立したフィンランドは、国づくりの一環としてデザインの発展に力を注ぎ、1930年代から70年代にかけて、デザイナーや建築家、アーティストが登場。今も続くフィンランドデザインが確立されました。そんなデザインのインスピレーションの源となったのは、フィンランドの豊かな自然なのだそう。
また冬が長くて厳しいため、家時間を豊かにする工夫からさまざまなデザインが生まれたという背景も。光を取り込む建築や、光を受けて表情を変えるガラス製品、鮮やかなパターンのテキスタイルなどは、太陽や花を想起させます。
50人以上のデザイナー、アーティストの作品が展示されているのは、デザイン大国のフィンランドならでは。前述のアルヴァ・アアルトやカイ・フランクのほか、陶版作品で知られるルート・ブリュック、『マリメッコ』を象徴する花柄《ウニッコ》をデザインしたマイヤ・イソラだけでなく、日本ではあまり知られていないアーティストたちの作品から、きっとお気に入りが見つかるはず。
またムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンの貴重な絵画や壁画の原画、雑誌の表紙、ファブリックなどのほか、子どものためのプロダクトも多数展示。小さな頃から人気のデザイナーが手がけるおもちゃや絵本に囲まれているフィンランドの人々が、少しうらやましくなってしまいます。
展示の最後にある、ミュージアムグッズコーナーも充実。オリジナルのトートバッグやTシャツ、文房具などのアイテムから、『イッタラ』の食器をはじめ北欧ブランドのアイテムまで幅広く揃います(『アルテック』のガチャも)。私たちに馴染みのある食器や家具、テキスタイルなどを通して、フィンランドの暮らしを改めて知ることができる展示。1月30日までなのでお見逃しなく。
ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル
会期:〜1月30日(日)まで
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
開館時間:10:00〜18:00(毎週金・土曜は21:00まで)
*入館は各閉館の30分前まで
入館料:一般1,700円ほか
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト
取材・文 赤木真弓