在パリ6年のクウネル・サロンメンバー松永加奈さんのフランスレポート。今回のテーマはパリの街で、ふいに出合う不思議な日本語や日本モチーフについて。「おや??」と思わず苦笑してしまうことが多いそうですが、日本で出回る英語やフランス語の表記だってきっと……。
パリの街でときどき見かける”日本語”や日本モチーフのデザイン。ヨーロピアンな雰囲気の中で自国のものに遭遇するとちょっと嬉しくなって「おっ!」と足をとめることもしばしばです。
「SHIITAKE」「KAKI」「WASABI」などは、日本名がそのまま表記された食材の代表格。「MACCHA」「TOFU」は、和を感じるワードとしてだけでなく、人々のヘルシー志向を刺激する存在だそう。また、最近メニュー名でよく見るのが「TATAKI」という言葉。その名の通り、肉や魚の”たたき”のことで、実際にお客さんがその調理方法をどのくらい理解しているかは分かりませんが、フュージョン料理として定着している印象です。そして、つい目線を送ってしまうのが、日本語やマンガのキャラクターがデザインされたファッションアイテム。日系アパレルメーカーが展開するアニメキャラのTシャツはメジャーですが、「浮世絵」(特に富岳三十六景)プリントのものを若い人が身に付けていることも。他にも日本語入りの雑貨など、日本好きな人ではなくても、好きなデザインの1つとして取り入れているようです。
一方、日本語の使い方(訳し方)やお店の内装で「どうしてこうなった?」と首を傾げることもいっぱい。特に赤ちょうちんをぶらさげて「日本料理」を謳っているお店では、店名からメニューまで謎が多く、大抵はアジア料理が一堂に会しています。店内には富士山や力士のポスター、日本の人形、折り鶴…。それでも、長年フランスに住んでいる日本人の方いわく、「”誤解を招く日本風”はこの数年でずいぶん減った」のだそう。もちろん、日系のお店や日本に造詣が深い人が携わっている場合そういったことはないので、「正統派の和食」を選ぶ人はそちらへ。ちなみに、みんな大好き「お寿司」については、各国で”オリジナリティの高い日本料理”として君臨し、フランスもしかり。でも、フランス人が美味しそうに、それもお醤油をたっぷりかけて食べている様子を見ると、アレンジを加えるという意味では「確かにこれもフュージョン料理だな」と思うようになりました(私は食べませんが)。
日本でも外国でも、他国のものを”我流”で取り入れると意外性が生まれるので、フランスでもたまに「こんな表現になるんだな」「これが(フランスでは)かっこいいんだな」と知って驚くことがあります。先日カフェで、店員さんが自分の首に彫られた文字を「大好きな日本語なんだ!形もかっこいい!」とテンション高めで見せてくれました。そこには「友情」の2文字が。ぜひその熱い思いのまま、言葉の意味を、周りのみんなに正しく伝えて欲しいと思ったのでした。