キャサリン・ヘプバーンは私の目指す理想像! カヒミ・カリィさんが憧れる【素敵な大人たち】

キャサリン・ヘプバーン

揺るぎない信念、洗練の美意識、孤高の精神、慈しみの心…… 自分のスタイルを持つ素敵な大人たち。人生の先輩や、生き方のお手本など、各界で活躍する方々のそれぞれの視点から憧れの人をうかがいます。今回は、カヒミ・カリィさんが憧れるキャサリン・ヘプバーンについて。

語ってくれた人

カヒミ・カリィさん

カヒミ・カリィ/かひみ・かりぃ

ミュージシャン

1968年生まれ。1991年にデビュー以来、国内外を問わず多彩な音楽活動を続ける。アメリカでの海外生活を経て2025年から拠点を日本に。執筆家、フォトグラファーとしてもマルチに活躍する。

老いを恐れず〝ありのまま〟を楽しむ姿に共鳴。

シルバーヘアを無造作にまとめ、そばかすやシミを隠すことなく庭仕事に没頭。自転車やバイクで街中を疾走したり、時には湖で泳いだり……。

取材時にカヒミ・カリィさんが持参した写真集『The Private World of KATHARINE HEPBURN』に写されていたのは、ハリウッドスターではなく、1人の女性としてのキャサリン・ヘプバーンのありのままの姿。約15年にわたり、カメラマンの友人ジョン・ブライソンが撮りためてきたもので、初版は1990年に発行。カヒミさんが一人暮らしを始めた19歳の頃に洋書店で出合いました。

「高校生の頃、映画好きの父のビデオコレクション『招かれざる客』で女優キャサリン・ヘプバーンを知り、すらっとした素敵な方だなと思っていました。数年後たまたま見つけた写真集のファッションやライフスタイルが自分の理想に近かったので、そこからインタビューや彼女が書いた文章を探しては読むように。飾らない生き方や人となりを知って、ますます好きになりました」

キャサリン・ヘプバーン

主演を務めた1955年公開の映画『旅情』のヴェニスロケにて。シンプルで仕立てのよいシャツにメンズライクなパンツを無造作に合わせたシンプルな装いは彼女の象徴であり、飾り気のない美しさを引き立てています。
Everett Collection/アフロ

キャサリン・ヘプバーン 俳優
1907年アメリカ・コネチカット州生まれ。ハリウッド黄金期を代表するアメリカの俳優。『フィラデルフィア物語』、『招かれざる客』などでアカデミー賞主演女優賞を史上最多4度受賞。当時の女性としては珍しくパンツスタイルを好むなど、独自のライフスタイルを貫いた。2003年に地元コネチカットで96歳の生涯を終えた。

晴れがましい席や人前に出ることを好まなかったようで、アカデミー賞主演女優賞を史上最多の4度受賞したにも関わらず、受賞者としての授賞式はすべて欠席しているキャサリン。1974年に親しい友人のプロデューサーへ記念賞を贈るプレゼンターとして1度だけ出席した時は、黒のワイドパンツに黒いジャケット、フラットシューズという飾らないスタイルで登場。会場にはたちまちスタンディングオベーションが巻き起こったといいます。

「今は多様性が受け入れられる時代ですが、当時のハリウッドで、ここまで自分のスタイルを貫いた人は珍しかったのではないでしょうか。人から何を言われようと、女優としては珍しいパンツスタイルを貫いたエピソードにも、パンク精神が感じられます。私もシンプルでマニッシュなスタイルが好きなので、彼女のファッションやワードローブを眺めるのが大好き。写真集には靴のコレク ションが登場するのですが、ほとんどがスニーカ ーやモカシン、アウトドア系のもの。庭仕事や料理を楽しんだり、執筆作業をしていたコネチカットの自宅は、リアルな生活感もそのまま映し出されていて、ハリウッドスターが〝ありのまま〟をOKしたことにも驚かされますよね」

子供の頃は髪を短く切って兄の服を着ていたり、 撮影現場ではドレスを拒否したりと、固定概念にとらわれず〝自分らしさ〟を貫いた人。また『Newsweek』誌のインタビューで「年をとることはそんなに気にならない」と語っていたように、 80 代でテニスや水泳を楽しみ、寝る間を惜しんで自伝を執筆するなど身体的なタフさも兼ね備えていました。エネルギッシュなのにその姿はあくまで 自然体。〝ありのまま〟を大切に日々の暮らしを楽しむ姿は、カヒミさんの目指す大人像に近い。

「写真集に出合った19 歳の頃からこんな大人になりたいと思っていたので、理想とする大人像はあまり変わっていないと思います。かっこいい大人とは、好きなことや自分自身を大切にできる人、 そして精神的に自立している人。身近なところで は父方の祖母もそんな1人。小さい頃、夏休みなどの長期休暇を祖父母の家で過ごしましたが、料理や庭仕事が得意で、穏やかさと強さが共存して いる祖母が大好きでした。元は大学で教鞭をとっていましたが、結婚、出産を機に家庭に入り、4人の子どもを育てあげました。昔の女性は家庭が優先で思うような生き方ができなかったかもしれませんが、自分の中の〝好き〟を大切に、独自のライフスタイルを確立していくことはできる。派手さはなくともそんな生き方も素敵だなと思うし、 私もそうありたいなと思います」

「私はまだ修行中」と笑うカヒミさんにとって、 折に触れて繰り返し眺めている「憧れの大人像」キャサリン・ヘプバーンの写真集は、手に取るたびにエネルギーをもらい、同時にほっと安心できる、特別な存在です。

『クウネル』2026年11月号掲載
取材・文/吾妻枝里子

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『クウネル』NO.141掲載

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