【西村悦子さんのふたり暮らし/後編】結婚から63年、夫婦ほどよい距離感の家。ゴッホの絵の壁紙をポイントに
東京・表参道『call』のスタッフ、西村悦子さん。「干渉せず自由が一番」という西村さんから、夫婦ふたりで穏やかに暮らしを楽しむための心の置き方について伺いました。
自由と個を大切に、心地よい距離感でのふたり暮らし
結婚から63年。あれをしてはいけない、これをしては駄目など、お互い干渉しないのが夫妻の変わらぬスタイル。
和室をリフォームしたオーク材の無垢の床と漆喰壁のリビングは明るさがテーマで黄色がアクセント。テーブルは「学校の机のようなシンプルなものを」と、大工さんに注文。椅子は『MoMA』の永久収蔵品に選定されたもので30年以上愛用。ソファも約30年使う『B&BItalia』。「いいものを長く大切に」が西村さん流。
「夫婦といっても他人です。干渉をせずに自由が一番。自由とは1人の時間を持つということ。あそこを旅したい、次はあれをしようなど、1人で想像を膨らませる時間を持つことは一緒の空間にいてもできますからね」
30年以上家族ぐるみでお付き合いのある京都・李朝喫茶〈李青〉オーナーのチョン・ヨンヒさんから、マンション購入時のお祝いでいただいた李朝の南画。西村さんが大切にする宝物のひとつ。両脇にはローマの蚤の市で見つけたアンティークの燭台に『ロイヤル コペンハーゲン』のキャンドルをセット。
フランスの銀食器専門店で購入したキャンドルスナッファー(ろうそく消し)もさり気なく置かれて。
ダイニングには風格漂う食器棚。40年程前、西武百貨店池袋店のアンティークショップで見初めて。
これからしてみたいのは、都会との二拠点生活
実は西村さんには、これからしてみたい暮らしがあると言います。
「本当は都会に住みたい。買い物もすぐにできて、エレベーターもあって、人とのつながりはなくていいから都会に住みたいんです。都会にウィークリーマンションを数週間借りて、緑のあるこの家は避暑のように住む、そんなスタイルもいいかもしれませんね」
“普通や常識という定義はない”と話す西村さんらしい、未来への展望にこちらも力が湧いてきます。
リビングを彩るゴッホの『花咲くアーモンドの木の枝』の壁紙をキッチンにも。小麦粉を煮て作った糊で貼るというこだわりよう。コンロから30㎝ほど上に鏡を貼り、外の緑が見えるように。窓のあるキッチンが理想という西村さんのアイデア。
板を2枚並べた棚には、旅先で購入したやかんなどを並べて。
「どうあっても、毎日を穏やかに暮らせればと思っています。私にとって心地いい暮らしとは、お互いありのままを認め合い、微笑みのある毎日を送ること。そんな日を積み重ねていけたらいいですね」
動画でもご覧いただけます
PROFILE
西村悦子/にしむら・えつこ
『call』ショップスタッフ
85歳。東京・表参道にある『ミナ ペルホネン』の直営店『call』のスタッフとして週に4日店頭に立つ。磨き抜かれたセンスの良さに世代を問わず注目が集まる。
『クウネル』2026年5月号掲載
写真/須藤敬一、取材・文/河田実紀
SHARE
『クウネル』NO.137掲載
パリ・東京、最新スナップ194
- 発売日 : 2026年1月20日
- 価格 : 1,080円 (税込)