【60代になってやめたことはじめたこと】ひとり暮らしのカレーは、お気に入りのレトルトで

ミニマムなワードローブ、2年間にわたるシルバーヘアへの移行など、好きなものと年齢に合わせた生き方のシフトをしている〈プレミアム・メンバー〉の広瀬裕子さん。
60代突入を見据え、「やめたこと」「はじめたこと」について綴ります。今回のテーマは、「カレーをつくること」です。
翌日カレーや冷凍はやめて、食べ切れる量だけに
スライスした玉ねぎを飴色になるまで1時間ほど炒めたあと、トマトの水煮、ココナツペースト、スパイスをいれ30分。最後にカレー粉を加えるとおいしいカレーができあがります。
「今日は、カレー」と思った日は、50代半ばまで、このレシピでカレーを作っていました。来客が多かった時期は、友人のこどもたち用にこのカレーを用意しておけば(辛くないのです)、大人はゆっくり過ごせるため「こどもはカレー作戦」をとっていました。
東京に帰ってきてからは、友人と会うのが自宅から外のお店になり、友人のこどもたちもすっかり大きくなり、時間をかけカレーを作る機会はなくなりました。
カレーは、不思議な食べ物です。時々、無性に食べたくなります。そう思っていなくても、SNS等でカレーの画像を目にすると、口の中がカレーになり「今日は、絶対、カレー」になることもしばしばです。
でも「では、ここから玉ねぎを──」という気持ちには、もうなりません。たっぷりのカレーを作り残りは冷凍に、も気が進みません。そういうこともあり、ある時期から割り切って(極端ですが)「カレーは、レトルト」にするようになりました。

「カレー」と思った時用にストックしている資生堂パーラーチキンカレー
選択の幅が広いレトルトカレーの世界
レトルトカレーの世界は、種類が多く、奥が深いことを「カレーは、レトルト」にしてから知りました。日本中のカレーが、レトルトパックになり、気軽に手にできるようになっているのです。価格の幅も広く、老舗ホテルのカレーなどは、レトルト食品とは思えない物もあります。おいしいカレーを見つけるため、北から南までカレーの食べ比べをする。それができるのが、レトルトカレーの世界なのです。
レトルトカレーを手にする際、大事にしていることがあります。それは「レトルトカレーでいい」ではなく「レトルトカレーがいい」という気持ち。
レトルト食品を取り入れるのに、何となく後ろめたい気持ちなることがありませんか? あれは何でしょうね。

スーパーマーケットに行くと全国のレトルトパックカレーがならんでいます。お店にはいけなくても少し贅沢な気分になるホテルのカレーも
実際、1食だけ食べたいひとり暮らしには、とても便利な物です。準備はあたためるだけですし、片づけもさっと終えられます。ひとり暮らしだけに限らず、忙しい時、買い物に行けない時、急に食べたくなった時、本当に助けてくれます。そう。謎の後ろめたさは、さあっと吹き飛ばし「これがいい」という姿勢でいただくようにしています。
色々、試した結果、わたしは資生堂パーラーのチキンカレーをストックするようになりました。同じ資生堂パーラーのベジタブルカレーと比べると、スパイシーで「大人な味」です。市販のカレールーとはちがうスパイシーさ。わたしが作っていたカレーでは出ない味。資生堂パーラーのチキンカレーは、資生堂パーラーだからこその味なのです。

実際の資生堂パーラーのカレー。薬味は4種(タマネギ、福神漬、ラッキョ、ミカン)
老舗ホテルのカレーは、レトルトカレーでも「えっ」となる価格の物があります。そういう時は、考え方を少し改めます。ホテルのレストランに行くことを思えば──と捉え直すのです。そうすると「あのホテルに行ったと思えば」となる場合もあります。
いまは、多くのレトルト食品が、店頭に並んでいます。年々、増えているのではないでしょうか。時代を反映してかベジタリアン用なども数多くあります。これからはもっと細分化していくのでしょうね。わたしのように「カレーはレトルト」にしないまでも、選択のひとつとしてのレトルトカレー、お勧めです。

その他、おいしいレトルトシリーズ。買い物に行けない時用、非常食としても
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この記事の
プレミアムメンバー

広瀬裕子
執筆のかたわら、50歳から空間設計の仕事をはじめ、現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどのディレクション、フードアドバイス等にも携わる。著書に『60歳からあたらしい私』(扶桑社)など多数。
Instagram:@yukohirose19