脚本家・吉田紀子さんが大切にする言葉。夢半ばで挫折してしまったとき、師の倉本聰がかけてくれた言葉とは?

人生のどこかで、ふとしたきっかけで出合った忘れられない言葉。勇気を与えてくれたり、心を軽くしてくれたりそれぞれの人が心に留めている大事な言葉を教えていただきました。
吉田紀子さんが大切にしている言葉。

長期入院治療のために「富良野塾」での塾生活を断念して東京へ帰るときに、旭川空港までの車の運転席で倉本先生が言ってくれた言葉です。
27歳、夢半ばで挫折し、目の前が真っ暗だった私に、「君はまだ若い。これから先も人生でつまずくことや、痛い目にあうこともあるだろう。でも転んだだけじゃダメなんだ。そこで雑草でも石ころでもなんでもいいから、何かをつかんで起き上がれよ。そうでないと、ただ痛い目にあっただけになっちゃうだろ」と。
また「病院の中はドラマがたくさん転がってるぞ。いいチャンスだ。人間観察して来い」とも。「困難や逆境に陥った時こそ、得るものは大きい」という意味だったのかなと。闘病生活の支えになり、その先も照らしてくれた言葉です。
PROFILE
吉田紀子/よしだ・のりこ
脚本家
倉本聰さん主催の「富良野塾」で塾生としてシナリオを学び、脚本家に。主な作品にTVドラマ『Dr.コトー診療所』シリーズ、『恋を何年休んでますか』、『団地のふたり』、映画『涙そうそう』、『ハナミズキ』などがある。
『クウネル』2025年7月号掲載 写真/目黒智子、取材・文/黒澤弥生
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