エキサイティングを好むフランス人。 ルーティンを好む日本人。日仏でこうも違う働き方ルール5
夏は長期バカンスで優雅に見えるフランス人。でも一緒に仕事をすると、日本人以上に働き者な一面が見えました。フランス人の仕事へのスタンスを、日本で働く2人の女性に聞きました。
目 次
2014年に来日し、フランス人の夫と共にワインバーを開業したクロエ・ベネットさん。店ではクロエさんが午後から夜にかけて働き、夫はオーナー業に並行してワイン輸入会社を経営し、夜の子どもたちのケアを担当しています。
「来日直後は日本人とフランス人の考え方の違いに驚きましたが、今は双方の良さがわかります。1番の違いは、フランスは圧倒的に人手不足の職場が多く、ひとりがものすごい量の仕事をこなしています。そのせいで仕事が少々雑なのかな」
1/エキサイティングを好むフランス人。 ルーティンを好む日本人。
店のオーナーになり、日本人従業員と接するようになったクロエさんが驚いたこととは。
「厨房で素材のカットを教えた人に、上手に切れるようになってきたし、同じ作業ばかりでは飽きるだろうと『来週はお肉の焼き方を教える』と提案。その途端顔を曇らせたのでなんでかな?と思ったら『できるか不安です』と。同じことをフランス人従業員に言うと『カットに飽きていたから楽しみ~』と」。フランス人はできるかどうかのリスクより、新しい仕事での興奮を好みます。一方で日本人は完璧なスキルを目指したいよう。
「次々新しい指示が出るとプレッシャーに感じると言われて驚きました。すべての日本人がこうではありませんが、フランス人がルーティンに飽きるのは確か」
2/上司の指示に 『はい』と日本人。『どうして?』とフランス人。
来日直後、フランス料理店で働いた時のこと。「シェフの指示にひたすら『はい!』と返事をして従うスタッフを見て、なんだかold fashionedだなと思いました」。フランス人は返事よりまず「なぜそれをやるのか」理由を問うことから始まるといいます。
「徒弟制度とまでは言わないけど、もっとコミュニケーションが取れる関係の方が良いのでは?」。日本もコンプライアンスによって、変わりつつあると言うけれど。
3/フランス人の仕事はスピード感。日本人はゆっくり、丁寧。
「フランス人は就業時間内に仕事を終えようと、ものすごいスピードで仕事をこなす」。でも時に仕事が雑になることも。「残業を厭わず、ミスをよしとしない日本人はゆっくり、丁寧。その分スピードは遅いけど」
4/日本人はルールを守れる。フランス人は自由。
コロナ禍では、規制下における世界中の国民性や国の考えの違いが如実に現れました。「日本人は我慢できる国民性。そして遠慮をする。フランス人の優先事項は“自分”だから、マスクをつけてと言われても、理由をつけて従わない人が多かった」。
クロエさんは日本に住むようになり、ますますそれを感じています。「信号が赤でも車がいなければフランス人は渡ります。日本人は時にそこまで?と思うほどルールを守ります」
5/ 日本はサービスの国。フランスは慢性人手不足。
思考や国民性とは別に、環境が仕事に与える影響もあると言います。「日本は役所も郵便局も、人がたくさん働いています。フランスは話しかけようにも人がいない。国民性ももちろんだけど、そんな職場環境も日本人とフランス人の働き方の違いに思えることも」
PROFILE
クロエ・ベネット/Chloé VENET
『アペロ ワインバー 青山』オーナー。ソルボンヌ大学で美術史&ツーリズムを専攻。2014年に来日。レストランに勤務後、夫のギヨームさんと共にワインバーをオープンし、共同オーナーに。3児の母。
クウネル2024年9月号掲載 写真/柳原久子、イラスト/Shu-Thang Grafix、取材・文/今井 恵
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『クウネル』NO.128掲載
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