【私の東京の味】藤井かほりさんが教えてくれたオーガニックベースのレストラン3軒(後編)
「私にとって東京の味は、ビジュアル的に美しく、おいしく、お店の人の志が高いことでしょうか。自分がお店を経営してみて、尊敬できる店主に出会うと、ほんとうにうれしくて、自分もそうなりたいと願いますね」
モデル、俳優としての美意識と、飲食店の経営者としての顔を持つ藤井かほりさんがセレクトした東京の味は、オーガニックベースの身体にやさしい料理が食べられるお店でした。後編は美容のプロが手掛ける食サロンと住宅街の隠れ家フレンチをご紹介。
藤井さんが20代のころ、撮影現場でメイクを担当した喜納祥一朗さんとは、半年ほど前に再会しました。
「初めてご自宅のサロン『Maison Kina』に行き、デトックスプレートランチをいただいたとき、衝撃を受けました。こんなに美しい料理で、口にしたら身体に沁み渡るほどおいしくて感動しました」
モデルや俳優という仕事をしていると、食事が不規則になりがちですが、「幼いころから母に食事の大切さを教わり、なんとなく体調が悪いな、と思ったら、食事を見直す習慣ができていたんですね」
『Maison Kina』美容のプロが手がける身体の中からきれいになる食サロン。
メイクアップアーティストとして35年のキャリアをもつ喜納祥一朗さん。「メイクのみならず、美を食からアプローチして、“食べて美しく健やかに”をコンセプトにウェルネスフードを提案したい」と、自宅2階に食べる美容サロンを作りました。妻で元モデルの美由紀さんが独学でマクロビオティックやヴィーガン料理を学び、作るのが、〈デトックスプレート〉です。
「わが家の料理をおすそ分けする感覚」というプレートには、30品目入りの味噌ポタージュ、土鍋で炊いた玄米ご飯がつきます。彩り美しい野菜料理や絶品車麩カツなど、食べるほどに心と身体が解放されていくよう。水曜日は喜納さん手製のスパイス料理が味わえます。
Maison Kina(メゾン キナ)
住:世田谷区成城9-26-6
営:11:30~15:00
休:木、金、土
予:水曜は前日までに要予約、 日~火曜は予約が望ましい
『Les Miston』扉を開くとそこは非日常な空間。心づくしのごちそうに心踊る。
3軒目の『Les Miston』とは、〝モロッコ〟がご縁をつないでくれたそう。
「妹がランチを食べに行って、私に、『ぜひ、行ってみて』とすすめてくれました。モロッコスタイルの個室を見て、『うちの姉がモロッコ料理の店をやっていて』と店主の野瀬さんに話してくれたんです。ランチに出かけて、感激しました。お家の中にジューンベリーのシンボルツリーがあって、それが2階のテラスまで届きます。猫足のバスタブやサンルームのようなスペースもあって、センスのいい空間なのです。料理はフレンチもあれば、イタリアン、和風、アラビア風と、国境のない料理が出てきます。」
閑静な住宅街で、ひときわ目を惹くフレンチアンティークのドアを見つけました。扉を開くと日常から解放されるようなお洒落なインテリアが迎えてくれます。店主でシェフの野瀬るり子さんは「昆布で出汁をとる和風もあれば、フレンチやイタリアン、アラビア料理など、その時々で料理します」と話します。撮影日の前菜には、鯵のカルパッチョ、茄子のごまペースト、合鴨の燻製など、どれも手が込んでいて心に沁みるおいしさです。メインの後には、デザートプレート。羽のように軽やかなメレンゲシャンテをはじめ、プリンやゼリーなど、なんとも艶やかです。新緑の季節にはシンボルツリーに実が生り、葉影が濃くなります。
Les Miston(リ ミストン)
住:調布市(詳細は予約時にお知らせ)
営:11:30~15:30 17:30~21:00
休:ランチ月~水 ディナー無休
予:要予約 (少人数は2日前まで、大人数は1週間前までに)
実家のある大分県にも時々帰省する藤井さんにとって東京の味は、
「たくさんある飲食店の中でふるいにかけられ、選ばれたお店だと思います。それは個性だったり、センスだったり、食材だったり、唯一無二の存在感を放つ店が、東京らしいと思います」。
添加物や農薬が心配な食べものなどは摂らないように心がけているそうです。
「オーガニック、ヴィーガン、グルテンフリーなど、身体に負担をかけない料理が食べられるお店はありがたいですね」
PROFILE
藤井かほり/ふじい・かほり
多摩美術大学在学中にモデルにスカウトされ、CM、雑誌、TV、映画、舞台等で活躍。モロッコレストランDar Roiseau(三軒茶屋)を夫婦で経営。
『クウネル』2024年 5月号掲載 写真/木寺紀雄、取材・文/田村幸子
SHARE
『クウネル』No.126掲載
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