大草直子さん、好きなものしか周りにない人生初の一人暮らし【愛用品ストーリー】
リピートしているアイテムには、出合いや理由、その人なりの使い方があるもの。素敵な人が語る愛着のあるものの背景には、忘れられない思い出や意外な秘密が隠れています。今回は大草直子さんの愛用品ストーリーをお届け。
PROFILE
大草直子さん
スタイリスト、ファッションエディターとして広く活躍しながら自らメディア『AMARC』を立ち上げ、「 私らしさ」を追求するファッション、ビューティ、生き方を提案している。
シンプル&ミニマム、新しい生活で生かす愛用品
留学する子どもと夫を海外に送り出し、大草直子さんが人生で初の一人暮らしを始めて半年。「好きなものしか周りにない新しい生活がとても快適」と語ります。クリーンな部屋には家具や壁に掛けた素描のほかは、限られた数の生活用品が置かれているのみ。
「30代、40代は子育てや仕事に追われて、服ならガンガン洗えることが先決でしたし、飽き性なせいもあって、ものも新陳代謝させなくてはという思いが強かったんです。
40代後半になりようやく気持ちも暮らしもバランスが取れ、これから先ずっと愛用していけるものを吟味したり、つきあいたいという余裕ができてきましたね」。ものとの向き合い方の変化がシンプルな暮らしを研ぎ澄ませたよう。「じっくりものを使いこんでいく生活も憧れでした。この数年で引き寄せた愛用品は、今後の数十年で自分の名品に育てていきたいと思います」
新しいライフステージを彩る名品候補の代表がリトルブラックドレス。「発足の時から大ファンで30着は購入している、『マディソンブルー』のもの。シンプルで素材も縫製も美しく、着心地抜群です。3年ほど前に出会いましたが80歳になっても着ているつもり」
生活の新ステージは愛用品として育てていけるものと
「高級なものやブランド品は、主張が強いから自分が圧倒されて埋没してしまうようで、かえって愛用しづらいんです。私、所有することにはこだわりがなくて、物の価値と価格の関係の方に興味があります。自分で見つけた無名の『いいもの』を愛する傾向も」
窓辺などにいくつか置かれたガラスの花瓶は紛れなく『いいもの』!「偶然見つけたブランド。花屋で花を1本ずつコーディネートするのが最高の気分転換なので、花瓶は重要なんです。何個も買える値段で、きれいで丈夫で使いやすい。色ガラスが光を通す様子も好きでよく眺めています」
一方で自分では選ばないプレゼントに愛着を覚えて、暮らしに欠かせなくなったのが手を象ったオブジェ。「新生活で周りとの関係性も強く感じるように。好きな友人のセンスを慈しむことも生活の刺激にしています」。シンプルライフだからこそ、心地いい風情や由縁をもつ愛用品が味方になっているようです。
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『クウネル』2023年5月号掲載
写真/菊地 史、 取材・文/原 千香子
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『クウネル』No.120掲載
センスのいいあの人の愛用品
- 発売日 : 2023年1月20日
- 価格 : 980円 (税込)