パリで、東京で……、おしゃれスナップを続けて10数年。ファッションスナップのスペシャリストがすてきなマダムをキャッチし、おしゃれの秘訣を伺うためにあちこちを巡ります。
ku:nel スナップ特集号・東京ページ、青山でお会いした関口さんは、10年前から、「着物」をメインにおしゃれを楽しんでいます。これからの季節の着こなしや色や小物で遊んだり、着物を着る面白さを教えていただきました。これまで着ていた洋服が似合わなくなってきた方、着物に興味が向いてきた方、参考にどうぞ。
●関口理香さん 55歳 主婦
子どもの進学で都心から高尾に移り住み10数年。自然のある田舎での暮らしを満喫中。3年間リュート(楽器)を習得。一年前からは、クラシックギターに転向して、毎日2時間以上練習中。今年8月からは、毎日絵日記をつけ始めたりと、何事にも楽しく、真剣に取り組む日々を過ごされています。
好きなものを着る
着物選びは、面白い遊び
ベージュにグレーの格子柄の着物に植物をモチーフした薄黒い帯の落ち着いた組合せ。どちらも『青山 八木』で見立てた、それぞれに力がある一品。帯締めは淡いグレーピンク、帯揚げはクリーム色で、優しくキリッしたまとまりのある着こなしに。全体のトーンであるグレーは、落ち着きがあり、馴染む色なので取り入れやすく、使い勝手がいいんだそう。
「着物に帯が合わないと撥ねつけたりするのがわかるので、力のバランスが取れるように選んでいます。帯締めや帯揚げの色は、着ながら、自然に手に取りながら、あまり考えすぎない。窓を開けて、その日の空気の質感や体の状態で選んでいきます。面白い遊びなんです。自分が好きなものを着て、楽しまないとね」
着こなしに繋がる、色合わせのバランス
着物の色合わせは、帯締め・帯揚げ・根付けの組紐の3つのバランス、それが混ざり合って、着こなしに繋がるんだそう。同じ色で揃えた方がいいのでは?と思いますが、着物においては、いろんな色を使うことも面白さの一つ。帯締めをブルーにしたら、帯揚げはグレーにするなど少し変えるのがポイント。
「最初は難しいと思いますが、手元に集まってきたアイテムの色の調和が出てきます。『好きなものをつけていいんだ』って、着慣れてくるとわかってきます」
本来の良さを引き出して、自信をくれる着物
元々形のある洋服とは違い、自分の体に合わせて纏うのが着物。着物を体に沿わせると、疲れている時は疲れたなりの、その時の状態が着こなしに現れ、その人が持っている本質や面白さが見えてくるんだそう。
街中でも視線を集めるので、自然と姿勢もシャキッとするように。
「『かっこいいですね』って、声をかけてくれる方もいて、自信に繋がりますよね」
これから着物をはじめたい方へ
「まずは、秋冬春に着る裏地のある袷から始めて、その次は、薄物や単を少しずつ。呉服屋には、それぞれのトーンがあるので、好きな店で揃えていくといいですよ。
最初から着こなそうと思わずに、失敗してもいいですよね。周りの人は寛容だし、頑張っていることが尊いことです。体が覚えたり、感覚が育っていって、段々とわかっていくもの。思い立った時に着付けをやっておくといいですよ」
取材・文/酒井祥子