パリで、東京で……、おしゃれスナップを続けて10数年。ファッションスナップのスペシャリストがすてきなマダムをキャッチし、おしゃれの秘訣を伺うためにあちこちを巡ります。
以前、ku:nel スナップ特集号・東京ページにご協力いただいた下村さん。長年ファッションの世界で仕事をされています。
50代に入って、顔まわりのアイテムにポイントを置いたり、再び古着を選ぶようになったり、年齢に合ったファッションの楽しみ方を教えていただきました。
●下村直子さん 58歳 リメイクデザイナー
アパレル業界でデザイン、MD(マーチャンダイジング)、ヴィンテージアクセサリーのバイヤーなど、ファッションに関わる仕事で長年活躍。リタイアされた今もアパレル会社でアルバイト勤務をしながら、〈リメイク〉をライフワークとして、自分らしいバランスのいい時間を過ごされています。
50代から、再び気持ちにフィットした古着
世の中がDCブランドブームだった頃、下村さんの興味を引いたのは、ロンドンのストリートファッションや古着。『ヴィヴィアン・ウエストウッド』の前身のワールズエンドなどに憧れて、古着を買いにロンドンに行ったこともあるそう。同じころ、東京にも古着屋がオープンしはじめ、古着ブームが到来。
「1点ものだし、最初からこなれた感じがあるし。50年〜60年代のカルチャーを感じることができて、すごく好きでしたね」
そのうち着なくなっていたそうですが、50代に入ってから、一般的なお店に行くと「自分の買う服じゃないかな?」と感じるようになり、再び古着が気持ちにフィットしたんだそう。その頃に購入したのが、今回、着回しをしていただいた『エトロ』のヴィンテージのテーラードパンツ。カーキのジャガード生地に金糸のジオメトリック柄が奥行きのあるスタイリングを作ります。
スニーカーで歩く習慣=スタイルキープ
1着目は、ライトカラーのタイトなデニムジャケットを合わせました。
「デニム生地は、何にもで合うし、年齢に関係なく、誰が着てもおしゃれに見えるのですごく好きです」
足元は、パンツのカラーとリンクしたハイテクスニーカー。スニーカーを購入することも増えて、スタイリングの主流になっているそう。
「ワンブロック歩こうとか、どこまでは歩いて行こうと心がけています。能動的に行動できる、軽くて、動きやすくて、心地いいものを選んでいます。足袋の形も歩きやすいですよ。歩くときは両手をフリーにしていたいから、サコッシュとかボディバッグが多いですね」
スマートなスタイルを保っている下村さん、太らないように気をつけてはいるものの特別にスポーツなどはしていないそう。ファッションに合わせたスニーカーで楽しく歩く習慣が秘訣のようです。
20年前のシャツ、
気に入ったアイテムは大切にケア
2着目は、20年前から着ているという黒いシャツを合わせたスタイリング。デコルテを少し深めに、マスキュラン✖️フェミニンな仕上がりに。少し寒くなったら、アイボリーのモヘアカーディガンを合わせて、明るくやわらかい印象に。
「新しいものをどんどん買いたいというタイプではなく、気に入ったものをずっと着ています『これ好き!』と思ったら、クリーニングに出したり、きちんと手入れをしています」
「メガネは顔」
顔まわりのアイテムで自分をキレイに
「メガネは顔」とおっしゃる下村さん。メガネが必須になってからは、顔まわりのおしゃれを気遣うようになりました。ハンドメイドのバンダナで髪の毛はすっきりシンプルに、メイクもマスカラ程度。今は、洋服よりもお金を掛けているというメガネ。似合うものは限られているので、実際に掛けて自分に似合うものがあると必ず購入することにしています。ヴィンテージアイテムが揃うショップ 『ソラックザーデ』が特にお気に入り。あとは主張のある大きめのピアスでまとめるようにしています。
「白髪が増えたり、顔の色味が気になってきたり、年齢をとったなりに受け入れていくことが増えますよね。今の自分に似合うものをセレクトできるのが、ファッションのいいところ。トレンドとかは関係なく、自分をキレイに見せてくれるもの選んでいます」
取材・文/酒井祥子