63歳「支える人生」から学びの道へ。「空の巣症候群」でモヤモヤしてた日々からの脱却。

セカミー ライフリデザイン まきこ ポートレイト

娘、息子が家を出る。職場でのゴールももう目の前……。

人生100年時代、ライフシフト、生きがいといった単語を耳にすることは増えたものの、いざ「わたしのやりたいことは何?」と考えてもなかなかすぐに答えが見つかるものではありません。先行く女性たちはどんな人生を送ってきたのでしょうか?63歳で新しいキャリアに向かい出発した、まきこさんのレポートです。

「娘の中学入学から20年続けてきた事務のパートを先月辞めました」そう語るのはまきこさん。東京都在住、夫と二人暮らしの64歳です。

セカミー ライフリデザインキャンプ

63歳からの挑戦。毎日5時間勉強の日々

「去年の4月からインテリアの実技を学ぶスクールに通い始めて今年の3月卒業したばかりです」

半年後のインテリアコーディネーター試験に向けて、毎日5時間机に向かうまきこさん。スクールの受講者は20代、30代も多く入学前は年齢差に不安を感じていたそうです。

「若い人たちの中に入って一緒にやっていくのはとても勇気がいりました。普通だったら孫もいるような年齢の60代のわたしが教室に入ったらどう思われるだろう、って。でも杞憂でした。好きなことが一致しているからでしょうか。皆さんまったく違和感なく受け入れてくれて、すぐに互いに課題や図面を見せあう仲になりました」

セカミー ライフリデザイン インテリアデザイナー
T定規や三角スケールなど図面を引くための道具一式。母から譲り受けた自室のテーブルの上で作業をすることが多い。
セカミー ライフリデザイン 参考書
資格取得に向けた参考書と過去問。予備校の授業は週40ページ進むスパルタ式。
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一度は諦めたインテリアコーディネーターの夢

短大卒業後、事務職としてキャリアを重ねてきたまきこさん。でもそれは必ずしも自分の「やりたいこと」ではなかったそうです。

「在学中につぶしがきくからと簿記1級をとりました。それからメーカーの一般職で就職して、27歳で結婚。出産前に二度転職しましたがどちらも事務職でした」

転機が訪れたのは20代後半のこと。

「当たるはずないと応募した新築マンションの抽選に思いがけず当たってしまい、ローンを組んで家を買いました。当時は夫もわたしも若くて貯金がまったくなかったので親から借金をして。そこから家具や食器を買い集める中でインテリアの楽しさに目覚めました」

意を決して働きながら31歳で「ミサワホーム」が運営するインテリアコーディネータースクールに通い始めましたが、当時は資格取得まではいたらなかったそうです。

セカミー ライフリデザイン インテリア
インテリアの中でも特に好きだという椅子のカタログ。

60代、自分に向き合う中で見えた本音

33歳で出産を機に専業主婦に。40代中ごろで復職してから約20年。一人娘が家を出てからは空の巣症候群を抜けきれずため息ばかりつく日々でした。

「見かねた娘から『お母さんは何がやりたいの?』と問いかけられました」

わたしには本当に「なにもない」のか。このあと数十年、「意欲の栓」を締めたままでいいのか。まきこさんは思い切って自分に向き合ったと言います。これまで「今さら」と蓋をしてきた自身の感情を見つめる中で、事務や家事で人を支えるよりも「自分自身の手でものづくりがしたい」という答えにたどり着きました。数十年受け入れることができなかった心の奥にしまった本音でした。

セカミー ライフリデザイン キッチン
一人暮らしの娘からのSOSで台所を導線を考えた仕様に。「使い勝手が格段によくなった」と喜ばれた。

わたしには何もない……わけではないかも

ものづくりと言ってもなにをするか? 過去の自分を振り返る中でまきこさんが出した答えはやはりインテリア。「どうなるかわからないけれど、とりあえずやってみよう」と63歳で学びの門をたたきました。

勉強する中で苦手だと思っていた絵が思いの外楽しいと気づいたり、プレゼンに向けて人生初めての”完徹”をしたり。

1年の勉強を通じて若い受講生とくらべて、年齢を重ねているがゆえの自身の「強み」にも気づいたそうです。

「教科書で出てくる耳慣れない素材の話も我が家のリフォームを振り返るとすっと腑に落ちたり、先生のたとえ話にも『ああ、ハンス・J・ウェグナーの椅子ね』と無理なくついていくことができたり。これは若い人には持てない目線だなと。数十年積み上げてきた知見がある私だからこその利かもしれません」

セカミー ライフリデザイン パース
近描いたパース。実在する家具の寸法を調べ、生活者の導線を考えた上で紙に落とし込む。
セカミー ライフリデザイン ペン
娘が小学校のときに買った「コピックマーカー」。パースを描くときに役立ってびっくり。
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1万円の重みがわかるわたしだからできる手助け

30年以上住んだ家を手放すことを決めたのも、この1年のこと。引越し先の家でまきこさんは、実家を出てから初めて自分の部屋を持ちました。

「ひとりになれる空間はとても大事です。おかげで勉強もはかどりますし、部屋にグリーンを飾る楽しみもできました」

10月の試験に向けて勉強を重ねるまきこさん。最後にこの1年で見つけた夢を教えてくれました。

「同世代の女性に向けた100万円までの少額リフォームのお手伝いをしたいです。できたらスクールの仲間たちと一緒に。1万円の重みがわかるわたしだからこそできることがあると思うんです」

セカミー ライフリデザイン まきこ ポートレイト
64歳の誕生日に渋谷の「トランクホテル」にて。ワンコインのチャンスフラワーを手に。
セカミー ライフリデザイン まきこ グリーン
お気に入りのショップは伊勢丹新宿店の「ルスルス」。「若い店員さんとの会話の中でとっておきのグリーンを見つけるのが楽しみ」
セカミー ライフリデザイン まきこ グリーン
自室の一角。ベッド脇のサイドテーブルの上にもグリーンを。
セカミー ライフリデザイン 名刺
誕生日プレゼントに娘が贈ってくれた名刺。「気恥ずかしいですが嬉しいです」
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マチュア世代の人生をリデザイン


2020年末、やりたいことがわからずモヤモヤしていたまきこさんが参加したのが40−60代女性のセカンドライフ&キャリア選びをテーマにした『セカミー LIFE Re-DESIGN CAMP』でした。

1ヶ月集中、少人数グループ制でこれまでの人生に向き合いこれからの数十年どう生きるか、参加者が自分なりの答えを出すまでに有資格者のメンターが伴走します。 現在、5月21日(土)より開始する第2期の参加者を募集中だそうです。プログラム制作には、武蔵野大学名誉教授/公認心理師 春原由紀さんに加え、クウネル・サロン プレミアムメンバーの編集者・片岡延江さんも関わっています。

\第2期メンバー募集中/

取材・文/Mari Shimizu

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